2012 Fiscal Year Annual Research Report
台湾・朝鮮・「満州国」における植民地官僚の総合的研究
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22530127
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
纐纈 厚 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (00234691)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 植民地官僚 / 官僚制 / 総力戦 |
Research Abstract |
近代日本国家の生成発展過程において政党や軍部などの諸権力集団との相互規定関係のなかで改編を迫られて行った日本官僚制の役割期待の変容を、特に日本の植民地であった台湾や朝鮮、事実上の植民地であった「満州国」での日本統治に主要な役割を担った官僚たちの行動原理を追及することを通して明らかにしようとした。そこでは、日本の官僚たちが、植民地支配をめぐる国内諸権力集団間の対立や妥協、さらには第一次世界大戦以降の課題とされた総力戦体制構築過程において日本官僚制が政党、軍部、資本家との連携を深めていくことで政治集団化していく背景とその実態を指摘した。 近代日本の官僚制は諸権力集団、なかでも政党制との重層的な関係を保持しながら変容を続けてきた。とりわけ、1920年代に入り、総力戦体制の構築が迫られるに伴い明らかとなってきた。すなわち、国内支配秩序を安定化するための治安警察機構や国家防衛及び植民地防衛を口実とする軍事機構の肥大化は官僚制の強化を必然化させた。本課題は以上の問題意識を踏まえて、官僚制強化の外在的要因とも言うべき植民地経営と総力戦体制構築という要因に着目することで日本官僚制の特質を抽出した。そして、植民地統治や総力戦体制構築を担った官僚たちが、戦後日本の権力構造においても中核的存在として活躍し、戦後の経済復興の立役者となった、その連続性をも指摘した。 本研究の検討課題は、第一に植民地統治の担い手としての官僚(=「植民地官僚」と称する)の果たした役割を追及すること、第二に植民地官僚を含め、日本の官僚たちが軍部や政党との対立を繰り返しながらも、最終的には総力戦体制の構築を共通目標に据えること、にあった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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