2011 Fiscal Year Annual Research Report
江沢民時代の中国のガバナンス構造の分析ー中央・地方関係の視座から
Project/Area Number |
22530130
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 康之 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50363908)
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Keywords | 政治学 / 地域研究 / 現代中国研究 / 中央・地方関係 |
Research Abstract |
江沢民時代についてようやく実証研究の条件が整ってきたことから、本研究では、「カリスマ性のない江沢民政権がいかに巨大国家を安定的に統治し、経済発展を続けてきたのか」という問いを立て、具体的には、巨大国・中国のガバナンス全局にかかわる中央・地方関係、とくにもっとも核心的なヒトとカネの側面、すなわち人事政策と財政改革に焦点を合わせ、政策(改革)実施の過程の詳細な検討から、一般に中央集権化したとされる江沢民時代の中央・地方関係の実態を地方側から解明することを目的にしている。 今年度は昨年度の成果に基づき、財政制度改革の政治過程の解明に取り組んだ。国内ではアジア経済研究所図書館で、海外では上海などで調査を行った。その結果、「94年改革」にかかわる資料がかなり多く存在することが判明し、90~92年の政治過程と94年以降の政治過程は取り上げず、「94年改革」に直接関係する93年の政治過程に焦点を当てて論文(「分税制改革導入の政治過程(1993年)の再検討」)をまとめ、大学紀要に発表した。 主要な知見を3つ挙げるとすれば、(1)93年7月にいったん地方政府は中央政府の提案を退けていたのが明らかになったこと、(2)朱鎔基副総理が全国遊説の際にとった具体的な活動内容の一部が判明したこと、(3)財政制度改革と人事との連動性は93年の政治過程では明白ではないが、懲罰はあっても限定的であったようであること、の3点になろう。 このように、これまで不明であった「94年改革」の導入過程をかなり明らかにできた点で有意義な成果を上げることができた。しかし、不明な点もなお残っており、今後も人事データの整理と政治過程の調査を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「94年改革」に直接関係する93年の政治過程に焦点を当てた論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実施計画」に沿って、「02年改革」の政治過程の解明に取り組む。並行して、江沢民時代の省級地方政府人事のデータベース作成作業を進める。
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