2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530136
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石川 敬史 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (40374178)
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Keywords | 共和主義 / 大統領制 / 建国史 / 連邦制度 / アメリカ合衆国 / 政党政治 / キリスト教 / 政治思想史 |
Research Abstract |
研究課題の柱である「アダムズ家」の精神を明らかにする過程で、下記三種類の研究実績を得た。 (1)政治思想研究 建国期アメリカにおける政治思想の展開を、「アメリカ建国期における政党対立(上)」および「アメリカ建国期における政党対立(下)」として『東京理科大学紀要』(第43号および第44号)に執筆し、一定の議論の基盤を構築した。また政治思想学会において、「『ザ・フェデラリスト』と建国史アメリカの思想対立」と題する報告を行い、他分野の専門家との意見交換を行った。以上の成果を総括すると、共和主義思想の歴史において、悪徳とされてきたpartyという概念が、紛争解決のための政治的制度となる契機をアダムズの政治思想を中心に検討したということになる。 (2)ジョン・アダムズにおける宗教思想の研究 上智大学アメリカ・カナダ研究所編『キリスト教のアメリカ的展開-継承と変容』(上智大学出版、2011年)に「ジョン・アダムズにとってのピューリタニズム」を寄稿し、本研究が想定する「アダムズ家」の起点となるジョン・アダムズが、キリスト教をどのように受容していたかを明らかにした。また、日本アメリカ史学会において、「ジョン・アダムズにおける共和主義とピューリタニズム」と題する報告を行い、その宗教思想の建国期アメリカにおける受容と変容を政治思想史的観点から再検討し、アメリカ史研究の諸専門家との意見交換を行った。以上の研究成果は、「世俗化」という分析枠組み以外の方法でアメリカ共和主義思想におけるピューリタニズムの位置づけを検討する一助となったと考えられる。 (3)その他 ジョン・W・デ・グルーチー『キリスト教と民主主義-現代政治神学入門』(新教出版社、2010年)の書評を『ピューリタニズム研究』(第6号)に寄稿し、その執筆作業を通して民主主義と宗教の間の関係を再検討する必要性を理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジョン・アダムズの政治思想について、政治史および宗教思想の観点から、比較的順調に研究成果を上げている。ただし、ジョン・Q・アダムズの政治思想についての研究が、現段階では附属的かつ断片的であり、その点に関して、当初の計画以上の進展を得ているとは言い難い。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策の要になるのは、第六代大統領ジョン・Q・アダムズ政権の政治史的検討である。本年度は、前年度までのアダムズ研究の成果を踏まえたうえで、この推進方策を追求する。これによって、ヘンリー・アダムズのアメリカ史理解がより一層明らかになると考えられる。
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