2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530137
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森川 友義 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (60329159)
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Keywords | terrirism / suicide attacks / evolution / kamikaze |
Research Abstract |
本研究は、集団間あるいは国家間における、紛争・テロリズム(特に自爆テロ)といった生命の危険を有する状況で、『マキャベリ的知能』に基づく意思決定がどのように行われるかについて仮説を提供し、データを用いて実証するものである。『マキャベリ的知能』とは、人間関係において自己利益を追求し、その結果生存競争に勝つための能力であり、例えば自分を実力以上に見せ相手を威嚇する能力(及びその威嚇を見抜く能力)、嘘をつく能力(及びその嘘を見抜く能力、更には嘘を見抜かれた後再び上手な嘘をつく能力)、誰を信頼すべきかという洞察力等である。本来ならば、マキャベリ的知能とテロリズムといった自己犠牲を伴う行動とは相容れない関係にあると考えられるものであるが、以前のコンピュータ・シミュレーションによる研究結果から、両者がむしろ補完しあう関係であることが分かっていた。 本年度は、承認された3ヶ年のうちの第一年目であるが、初年度として、(1)テロリズムに関する文献の収集、(2)分析すべき史料収集にあたるとともに、(3)データのコーディングを行い、(4)論文の執筆を行った。テロリズムに関する文献は21世紀に入ってから政治学の分野で数多く出版されているが、殆どを入手することができた。また史料として、第二次大戦中の神風特攻隊の遺書.日記等を用いることとして、その結果、全隊員死亡者のうち30%程度の関係書類を集めることができた。集められたものをもとに、コンテンツ分析を実施するためにエクセルにコーディングを行った。3名が別々のコーディングにあたり、コーディングの間違いがないかトリプルチェックした。共同執筆者と「An Evolutionary Account of Suicide Attacks」なる論文を執筆し、現在、「Political Psychology」という米国の政治学雑誌に投稿し査読されている段階である。
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