2012 Fiscal Year Annual Research Report
戦後ドイツ連邦体制形成における外圧性と内発性の交錯・融合
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22530140
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
北住 炯一 愛知学院大学, 総合政策学部, 教授 (20100901)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ドイツ / 占領体制 / 基本法 / 連邦制 / 議会評議会 |
Research Abstract |
2012年度の研究実績は、第一に、論文「ドイツ複合占領における国家化と原連邦制」の発表である。論文の狙いは、ドイツの占領期において戦後連邦制の原型がいかに創出されたのか、またドイツ連邦共和国の国家的要素がどのように形成されたかを明らかにすることである。従来、占領期を連邦制と西ドイツ国家建設の原型創出期と位置付けたうえで、この視点に立脚する研究は皆無である。本研究は、そうした研究史上の空白を埋め、戦後ドイツ占領体制研究に新しい見方を提供した。アメリカ・イギリス占領地区の統治制度は、行政評議会、経済評議会、再編経済評議会の三段階で展開し、そのなかでアメリカ占領地区や統合占領地域の立法ヘの州の参画、占領地域の法的経済的統一性の確保、州間調整システムの形成、銀行制度や裁判制度等の創設など1949年に成立する連邦制と西ドイツ国家の原型的特徴が生み出されたことを明らかにした。第二に、発表には至らなかったが、「ドイツ基本法制定過程における政党の連邦制構想と連邦・州の権限配分関係」に関する論文の執筆を行った。論文の目的は、キリスト教民主同盟、キリスト教社会同盟、社会民主党がどのような国家・連邦制構想を掲げたのか、連邦と州にはいかなる権限を付与し、両者の権限配分をどのように制度化したかに関して究明することである。社会民主党は連邦優位連邦制、キリスト教社会同盟は州優位連邦制、キリスト教民主同盟は連邦・州均衡連邦制を構想したとの仮説について政党綱領や議会評議会議事録などを用いて実証した。 本年度の研究によって、ドイツ戦後連邦制の形成が複合占領体制下での占領軍政府の「外圧性」とドイツ州首相や政党の「内発性」の複合的・重畳的関係の所産であるとの学問的認識を一段と深めることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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