2011 Fiscal Year Annual Research Report
北アイルランドにおけるコミュニティ間の共存に向けた統治システムの開発に関する研究
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22530144
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
南野 泰義 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60268141)
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Keywords | 北アイルランド / 権力分有 / ナショナリズム / ユニオニズム / リパブリカン / ベルファスト和平合意 / セントアンドリュース合意 / ヒルズボロ合意 |
Research Abstract |
北アイルランド紛争を具体的な事例として、武力行使をともなう紛争を予防、回避、平和的手段によって解決し、長期的展望として、カトリック系とプロテスタント系エスニック・コミュニティ間の公正で共存可能な関係を構築していくための原則と政策形成の方法を開発することを目的とするものである。 本研究の主たる課題は、(1)プロテスタント系政治団体UUPとDUPの和平合意反対派の政治姿勢とその支持母体について、現地調査をもとに、その動向と背景を明らかにし、(2)1998年和平合意以降のプロテスタント系、カトリック系住民との間に存在する地域的な分離傾向と職種上の種別化などの社会的諸問題への影響について精査を行うとともに、それが両派の政治主張にどのように反映しているのかを解明することにある。 平成23年度の研究では、今次の研究目的を達成するために、北アイルランド紛争について膨大なデータを蓄積しているベルファスト・クィーンズ大学のリアム・ケネディ教授の研究チーム、アルスター大学に付属するCentre for the Study of Conflict (CAIN)研究所と同大学と国連大学との共同プロジェクトであるInternational Conflict Research (INC0RE)研究所とのネットワークを連結し、恒常的な研究交流を実現することができた。その上で、各組織の離合集散が激しく、また住民意識の相違から継続的な調査が相対的に困難であったユニオニスト系の政治団体とその支援団体、プロテスタント系の地域住民組織を中心に調査を行い、実態的な資料の収集を進め、(1)和平合意の特徴とその政治的性格、(2)政党間のエスニックポリティックスの温存と制度化について明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジョン・ハッチンソン教授および英国のAssociation for the Study of Ethnicity and Nationalism (ASEN)の研究メンバーとの研究交流が順調に進んでおり、平成23年度には、本研究のベースとなるベルファスト和平合意の政治的意味と制度上の特徴、そこに見られる限界性と課題を解明することができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、現地での調査を実施するために、ジョン・ハッチンソン教授との間で調査内容とスケジュールについて協議に入っており、訪問機関および日程の調整を進めている。年度末には、英国のAssociation for the Study of Ethnicity and Nationalism (ASEN)の総会と研究会に参加し、研究成果を報告するとともに、アンソニー・D・スミス教授と民族問題および地域紛争に関する最新の研究動向について意見交流を行い、本研究の成果を公表していく予定である。
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Research Products
(2 results)