2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530161
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20419253)
|
Keywords | 国際政治経済 / 比較政治 / IMF / 金融政策 / 海外援助 |
Research Abstract |
本研究は、国際通貨基金(IMF)が途上国の銀行民営化・銀行規制強化など種々の金融政策改革において果たす役割を明らかにしようとするものである。平成22年度は、新たに作成したグローバルデータベース(海外援助や政治制度、経済指標などの変数を基に作成)を用い、計量分析についての発表、またインドネシア・タイ2か国についての事例研究の発表を行った。 IMFのコンディショナリティ・プログラムが、ある国の銀行民営化・銀行への監督権限強化・証券市場改革分野などの七分野にわたる金融政策についてどのように影響を与えるか、とりわけそのIMFが金融改革を進めるという影響は、その国が米国から受けている経済援助の量にどの程度影響されるか、その相互作用について、計量分析を試みた。まだ初段階の分析ではあるものの、IMFの金融改革を進めるという影響は、米国からの経済援助をより多く受けている国ではより強くなるという暫定的な結果が得られたので、それをInternational Studies Association(於ケベック、カナダ)にて発表した。またさらにそこで得られた討論者や参加者の知見を基に若干の改稿を行い、Midwest Political Science Association(於シカゴ、米国)にて発表を行った。 事例研究では、インドネシア・タイの二か国に於ける金融政策に影響を与える政治的要因の分析について、特に今回は2008年以降から世界金融危機後までの期間を新たにカバーし、International Studies Association(於ケベック、カナダ)にて発表を行った。インドネシアでは多党による連立政権の影響により、政策の変更がされにくくなっている。またインドネシアでは世界経済危機により若干の銀行への影響がみられた。タイでは政治危機の影響により、政治が麻痺状態に陥っていたが、両国ともに世界経済危機による影響は限定的であった。これは世界金融市場への統合が限定的であったためである。
|
Research Products
(3 results)