2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代のローカル・アクター:ラテンアメリカの人権NGOの発展と市民社会
Project/Area Number |
22530164
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
杉山 知子 愛知学院大学, 総合政策学部, 准教授 (90349324)
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Keywords | ラテンアメリカ / 人権 / 国際規範 / 移行期の正義 / 集合的記憶 / 真実委員会 / 民主主義 / トランスナショナル・ネットワーク |
Research Abstract |
平成22年度は、アルゼンチンの現地調査では、(1)サンファン州で開催された1er Congreso Internacional Extraordinariode Cienceia Politicaに参加した。この会議は、アルゼンチンのリーダーシップで開催されたアルゼンチンをはじめラテンアメリカ諸国の社会科学分野の研究者、政治・政策関係者の大規模な会議であった。ラテンアメリカにおけるグローバル化時代の社会運動や人権NGOのネットワークに関する研究は、特にアメリカの社会科学者およびNGO関係者により進められてきた分野であるが、この会議では、人権NGOや社会運動に関する研究は余り見られず、知識共同体や情報の偏りを感じる会議参加であった。 (2) ブエノスアイレスにおいて、軍政期の拷問を行っていた施設見学をした。現在、記憶の博物館となっているESMAでは、代表的な人権NGOが、各々がESMAの施設をそれぞれの活動に応じて活用することになっている。しかし、ESMAの施設活用には、人的、財政的制約もあるなか、自己満足的な活動に陥らず、人権NGOの活動を一般市民に対しアピールしていくのかが今後の課題でもあることがわかった。 (3) 移行期の正義に関する2次資料の文献収集、資料整理をし、検討をした。2次資料からの知見として以下のことが得られた。ラテンアメリカにおいて、権威主義体制から民主主義体制への移行期において、国家テロリズムとも呼ばれるような人権抑圧、強制失踪等の過去の人権侵害についての責任を問うという側面があり、民主主義の維持、定着が重要課題と考えられてきた。ラテンアメリカの移行期の正義で実践されてきた真実委員会、人権裁判、補償などは、アジア・アフリカ地域における移行期の正義でも見られる。しかし、アジア・アフリカ地域では、内戦、民族紛争等後の平和構築の方策として、移行期の正義が重視されている傾向がある。今後も移行期の正義に関する先行研究検討を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)