2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530170
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安江 則子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (20268147)
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Keywords | EU / エージェンシー / FRA / シェンゲン協定 / リスク管理 / ECLAN / EFSA |
Research Abstract |
本年度の研究実績について、前期と後期に分けてその概要を述べる。 前期(4月から9月)に学外研究期間を利用し、ベルギーに滞在してEU本部のあるブリュッセルにおいてEUの欧州議会や欧州委員会を訪問し調査を行った。また、EUエージェンシーの一つである基本権庁(Fundamental Right Agency)を訪問し、その権限や任務、EUの政策決定に対する影響力、また具体的には地中海北岸地域からの移民・難民問題についてヒヤリングを実施した。その他、欧州域外国境管理庁(FRONNTEX)の関係者にヒヤリングを実施し、また、ECLAN(European Criminal Law AcademicNetwork)でのテロ対策等のリスク管理、警察協力に関する会議などに出席して貴重な知見を得ることができた。 その内容の一部は、「EUの域外国境管理政策とフランスの移民政策-岐路に立つシェンゲン協定」『EUとフランス』(法律文化社、平成24年1月発行)において公表している。 後期(10月から3月)においては、日本での資料調査などの準備を経て、3月にイタリアのパルマにあるEUエージェンシー、欧州食糧安全庁(European Food Security Authority)を訪問し、その任務や食の安全に関するリスク管理、市民団体とのコミュニケーションについてヒヤリングを実施した。また、3月20日に開催されたEFSA Stakeholder Consultative Platform 18^<th>meetingに参加し、EFSA当局と他のステークホールダー(研究機関や消費者団体)との議論や、2002年の開設後10年を経たEFSAの成果や課題、今後の展開についての報告を聴くことができた。訪問調査を行ない、EFSAの職員のみならず関係団体職員からも直接に話を聴くことで、EFSAの機能やその課題について有益な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EUエージェンシーに関する文献調査および訪問調査は、学外研究期間(4月から9月)および3月に実施した調査によって順調に進んだ。ブリュッセルなどへの訪問調査によって、関係者の説明を聴くことができ、EUエージェンシーの機能や課題について理解することができた。研究結果の公表も可能なものから行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象として調査した「個々の」EUエージェンシーのリスク管理機能の検証や加盟国との関係については研究が進み、その一部は論文あるいは編著書の形で公表した。しかし、リスク管理に携わる複数のEUエージェンシーの「包括的な」評価や課題については、まだ総括できていない。また、調査していない他のEUエージェンシーのリスク管理についてもその実態を把握する必要がある。 平成24年度は、これまでの研究を総括し、リスク管理に携わるEUエージェンシーの機能と課題についての全体像を明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)