2011 Fiscal Year Annual Research Report
新古典派生産関数のミクロ的基礎付けと生産関数の集計問題の研究
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22530174
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
中村 勝克 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (00333998)
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Keywords | 生産関数のミクロ的基礎付け / 生産関数の集計問題 |
Research Abstract |
企業の技術選択とマクロ生産関数の集計問題について,昨年度に得られた点を精査し,レオンチェフ型生産工程モデルの理論的強化を図った.幾つかの理論的問題点にも直面して,それを克服するため当初の計画以上に多くの時間を割かざるを得ない状況ではあったが,以下のような結果と,さらなる論点が得られている. (判明している点) 1. レオンチェフ型生産工程モデルが新古典派生産関数の一般的なミクロ的基礎付けになる. 2. レオンチェフ型生産工程モデルを用いると,ヘテロな資本や労働も比較的容易扱うことができる. 3. レオンチェフ型生産工程モデルを通して,マクロ生産関数の集計問題が容易になる可能性がある. (さらなる論点) 1. 一般均衡的な枠組みで考えた場合,レオンチェフ型生産工程モデルと新古典派生産関数の対応がユニークに定まるのか確認する必要がある. 2. マクロ生産関数の集計におけるレオンチェフ型生産工程モデルの使用と,所謂「集計問題のレオンチェフ条件」との関係を明らかにする必要がある. 今年度,交付申請書に記載した「研究目的」に即して研究を行ってきた.また「研究実施計画」の通り分析を進めてきて,幾つかの知見(上記の(判明している点)に記した結果)も得られたが,研究を深めていくに従って,看過しがたい問題(上記の(さらなる論点)に記した内容)が新たに発生した.今後,これらの問題点を克服し,マクロ生産関数に具体的な意味付けをする必要があるが,今年度に得られた結論は,マクロ経済学の基礎を一定程度補強するものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな理論的問題点が発生したことを受けて,その問題点の克服および過去の文献との関係を整理する必要が生じ,想定以上の時間が費やされたため.
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Strategy for Future Research Activity |
レオンチェフ型生産工程モデルと新古典派生産関数の対応がユニークに定まるのかという理論的問題が発生しているが,これに関しては「縮小写像の定理」が適応できるように,モデルのセットアップを修正する.またマクロ生産関数の集計問題についても,所謂「集計問題のレオンチェフ条件」との関係を明らかにする必要がある.これについても使用する関数の特性を考慮する等,さらに分析を深める.
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