2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530181
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
吹春 俊隆 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (40136031)
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Keywords | 一般均衡 / シミュレーション / 安全保障 / 所得分配 / 環境政策 |
Research Abstract |
応用一般均衡論の特徴は経済学の基本的分析手段である比較静学を「統計処理によりパラメータを一点に特定化した後でスカーフ・アルゴリズムにより均衡解を計算」して行うことである.私はむしろそのパラメータをアトランダムに数多く選んで古典的なニュートン法により一般均衡解を計算し,その均衡解の性質を分析することで比較静学を行ってきた.この方法で私は国際経済学,資源・環境問題,防衛・安全保障などのテーマを選んで比較静学を行ってきたが,本研究の目的は,これらの研究成果を更に発展させ,新たに国際貿易と所得分配というテーマへと拡張することである.平成22年度,私は防衛・安全保障に関するテーマで一般均衡モデルの論文を完成させ,ハーグ(オランダ)で開かれた国際学会で発表したが,平成23年度,その論文は選ばれて学会報告集の1章として出版された.次に,平成23年度は資源・環境問題に関するテーマで論文を完成させ,ブルノ(チェコ)で開かれた国際学会で発表した.その手法は応用一般均衡のそれである.すなわち,環境問題を含む人口のサステイナビリティを経済学的に分析する場合,どうしても環境税(ピグー税)を導入せざるを得ないが,環境税率をパラメータ変数として一般均衡解を導出するのはほぼ不可能に近い.そこで環境税率をまず特定化して古典的なニュートン法により一般均衡解を計算できることが確認されたので,特定化された環境税率を様々に変化させて古典的なニュートン法により一般均衡解を計算して解の特徴を吟味するのである.また,最後に,平成23年度,イノベーション,国際貿易と所得分配に関するテーマについて,イノベーションが生じる場合,貿易によって所得分配が不平等化するという興味深い結論を得たのでその成果をパース(オーストラリア)で開かれた国際学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果を国際学会で発表し,その論文はグローバル・スタンダードな出版社により出版された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年6月にベルリン(ドイツ)で行われるEuropean Peace Science Conferenceにおいて,イノベーションが民需財である場合と公共財である場合,所得分配の不平等にどのような差があるかを吟味した論文の発表が採択された.同年7月にライプチッヒ(ドイツ)で行われるiEMSsにおいて環境問題の論文を発表するためのアブストラクトは採択され,現在はフル・ペーパーが採択されるかどうかを待っている状態である。このように,研究目的に沿った研究の推進を実行するつもりである.
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Research Products
(6 results)