2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530187
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 青天 明治学院大学, 明治学院大学経済学部, 教授 (10206831)
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Keywords | 全要素生産性(TFP) / 技術進歩 / 高度成長期 / 総要素用削減額 |
Research Abstract |
Harberger (1999)やRobles (1997)で用いられた産業別の全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)の計測方法を戦後日本経済のデータに適用し、1955年から2000年まで5年おきに産業別生産性を計測した。こうして戦後日本経済の発展過程をTFPの視点から観測した。この計測方法でのTFPは、各要素価格の変化による総要素費用の削減額の時系列的変化に等しくなるという性質を持つ。このように総要素費用削減額で測られたTFPの時系列的な上昇を「技術進歩」と見なした時、高度成長期前期(1955年-1960年)では、機械や鉄鋼などの一部の重工業部門で集中的に始まったTFPの上昇が、高度成長期(1960年-1970年)を通じて、すべての産業のTFP上昇へと波及したことが明らかにされた。さらに、高度成長が終焉した安定成長期(1980年-1985年)には、再び一部の産業にTFP上昇が集中したことが観察された。バブル期とその後の期間(1985年-1995年)には、多くの産業でTFPがマイナスとなり、特に不動産、建設、金融・保険の3部門のTFPのマイナス(総費用の増加)が非常に大きかった。また、バブル崩壊後10年経った2000年度までには、上記3部門のTFPは大幅に上昇し、バブル崩壊からの回復が確認された。このように、TFPの変化は、部門間でかなり異なった時系列的変化を示していることが分かった。
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Research Products
(3 results)