2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530187
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 青天 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10206831)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | カルドアの定式化された事実 / クズネッツ・プロセス / 全要素生産性 / 宇沢2部門モデル / 資本集約度 / 移行過程 / ターンパイク定理 / 効率単位モデル |
Research Abstract |
マクロ経済学では、各国の国民所得に占める労働や資本の要素報酬率が長期にわたり一定であるという「カルドアの定式化された事実」が知られている。これに対して、産業レベルの実証分析から、経済成長の移行過程では各産業の構造が変化するという「クズネッツ・プロセス」が知られている。このようにマクロレベルと産業レベルの観察結果が大きく異なっている。本研究の目的は、消費財部門と投資財部門から構成される2部門最適成長モデルを使い、この相異なる観察結果を統一的に説明することである。これまでの我々の実証研究から、2つの重要な実証結果が得られている。観察1)各部門の成長率は全要素生産性の成長率に密接に関係している。観察2)消費財部門は投資財部門よりも資本集約度がおおきい。 分析は以下のように進められる。まず、宇沢などにより研究された新古典派2部門最適成長モデルへ、観察1)から、産業固有の全要素生産性(TFP)の成長を表す技術進歩率を導入する。このオリジナルモデルを各部門の技術進歩率で基準化し、効率単位モデルへ変換する。このモデルに関して「各部門の初期値に関係なく、各部門独自の定常経路へ収束する」というターンパイク定理を証明する。この証明には、観察2)の結果が重要な働きをする。効率単位モデルをオリジナルモデルへ変換し直し、効率単位モデルでのターンパイク定理で証明された性質を書き換えると次の重要な結果を得る。1)定常状態では、各部門の一人当たり資本ストック、一人当たり産出量は部門固有の成長率で成長し、部門間の相対価格は変化しない。2)定常経路への移行過程では各部門の一人当たり資本ストックは変化する。結果1)は各部門の一人当たり産出量が一定の率で成長することと一定の相対価格から、カルドアの定式化された事実を示すことができる。結果2)は、移行過程での構造変化を示しており、「クズネッツ・プロセス」である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)