2012 Fiscal Year Annual Research Report
内生的貨幣供給理論の視点からの現代経済の金融化に関する研究
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22530194
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石倉 雅男 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80222983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 敦之 大月短期大学, 経済科, 准教授 (40461868)
小倉 将志郎 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (90515404)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 資金循環 / 所得分配 / 証券化 / 金融規制 / 金融政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は,1990年代以降の先進国経済における金融構造の変化(組成保有型から組成販売型の金融仲介システムへ)を考慮に入れてポスト・ケインズ派経済学の内生的貨幣供給理論を拡張し,現代経済の「金融化」について,資金循環,所得分配,金融政策,金融制度の観点から考察することにある.平成24年度には,研究実施計画に従って次の研究を行った. (1)貸出債権の証券化が金融システムに及ぼす影響について,原債権の信用リスクの分散という観点からだけでなく,証券化商品を担保とするレポ取引を通じた大口の資金調達・運用の観点からも考察した.また,レポ市場の役割を強調して「影の銀行システム(SBS)」の維持と強化を提唱する政策論について,金融機能の公共性の観点から予備的な検討を行った.(2)現代経済の「金融化」への分析視角を体系化するため,資本主義経済の分析的基礎となる貨幣経済と価格形態についての理論的考察から出発し,貨幣的利潤の実現機構,および,資本蓄積・実現利潤・負債構造の構造連関についての考察を経て,証券化と金融システムの構造変化に関する分析に至る体系的考察を,著書『貨幣経済と資本蓄積の理論』に取りまとめた.(3)ケインズ『貨幣論』の「産業的流通」・「金融的流通」に基づく貨幣的循環理論の分析枠組みを具体化するため,信用・国家財政・国際収支・金融市場の4つの貨幣供給径路を考慮に入れて,金融主導の貨幣的循環および成長レジームに内在する不安定性について考察した.(4)インフレ目標政策論とテイラー・ルールの論理構造を,自然利子率論の学説史との関連で再検討し,自然利子率を参照値とする政策が所得の低下と失業の増加を引き起こす可能性のあることを確かめた.(5)世界金融危機後の金融規制改革として「ボルカー・ルール」の内容,および,同ルールをめぐる反対論・支持論を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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