2010 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス古典派経済学における企業像とその経営理論的考察
Project/Area Number |
22530198
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
村田 和博 埼玉学園大学, 経営学部, 教授 (00300567)
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Keywords | ウェイクフィールド / バーナード / 古典派経済学 |
Research Abstract |
平成22年度交付申請書に記載した研究実施計画には、研究遂行に必要な資料収集、およびウェイクフィールドの協働論とバーナードの協働論を比較検討する論稿の公刊の二点が示されているが、前者については、本研究の遂行に必要な著書を購入するとともに、夏季休暇中に他大学(北海道大学)で文献調査を実施して必要な文献資料を収集した。 また、後者については、12月に「C.I.バーナードとE.G.ウェイクフィールドの協働論」を『埼玉学園大学紀要経営学部篇』第10号において公表した。その論稿の中で、バーナードとウェイクフィールドの協働論の特質をそれぞれ明らかにしたうえで、両者に共通する特徴として、財の交換関係を協働としてとらえていること、および使用者と従業員の関係を協働関係としてとらえていること、を指摘した。さらに、ウェイクフィールドの協働論には、以下に示すような理論的もろさがあることも明らかになった。第一に、労働者の協働意欲がどのようにして持続するのかについての説明が不足していことである。資本家と労働者の協力関係を成立させる制度的基盤が明確にならない限り、つまり、バーナード理論における貢献と誘因の関係のようなものを認めない限り、両者は協力関係ではなく、搾取の状態に至る可能性がある。第二に、バーナード理論では重視される協働体系における管理者の役割に関する説明が欠けている点である。ウェイクフィールドの協働論では組織内で調整を担う者が明確になっていないために、組織の調整に関する言及も存在しない。
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Research Products
(1 results)