2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代イギリスにおける「制度化された信用」とその論争的展開
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22530202
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
伊藤 誠一郎 大月短期大学, 経済科, 教授 (20255582)
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Keywords | 信用 / 銀行 / 土地銀行 / 17・18世紀 / イングランド / ジェームス・ステゥアート / 公信用 / 利子 |
Research Abstract |
17世紀後半のイングランドにおいて書かれた諸銀行設立案を中心に、「制度化された信用」の確立に向けた論争の過程、争点、内容に焦点をあてて検討した。第一に、23年5月にイスタンブールで開催されたヨーロッパ経済思想史学会で 'James Steuart on public credit'を報告し、そのなかでJ.ステゥアートが公信用に対していかに現実的な姿勢をとったかを明らかにした。第二に、前年度にThe Historical Journal投稿していた英文原稿 'Registration and credit in seventeenth-century England'についての審査結果をふまえ、レフェリーからのコメントを参考に改良したあと、同誌編集者が進めるFinancial History Reviewに投稿した。この原稿では、土地登記がいかに当時の信用制度の確立にとって助けとなるとされたかを検討した。レフェリーから指摘された文献は大いに参考になり、以下の利子論争を扱った論文でも十分に参考になった。第三に、17世紀1660年代末に起きた利子論争についての議論をあつかった英文原稿Interest controversy in its scontext'を改良した。これは、次年度に再改良の上英文専門誌に投稿の予定。第四に、上記研究関連資料の調査のため、とくに17世紀金融関連文書の手稿類の調査のため23年9月に10日程度ロンドンに滞在し、大英図書館とロンドン大学図書館に赴いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ交付申請書に記載したとおりに作業は進行しており、また、原稿を投稿した雑誌のレフェリーからのコメントや学会報告の際のコメントなどを参考に、内容的にも当初の想定より高い質の研究を進められていると思える。
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Strategy for Future Research Activity |
先行する科学研究費補助金を利用して続けてきた17世紀の信用制度をめぐる論争の研究は平成24年度、25年度にかけて複数本の英文論文の英文専門誌への投稿、再投稿が増えると思われる。また、それらの論文と、これまでに蓄積した投稿は想定していない(連続したテーマのためそれぞれを単一の論文として投稿するには適していない)学会報告原稿をまとめて著作とすることを目指す。それに伴って、これまで同様の資料調査、原稿執筆、学会報告、雑誌投稿といった作業とはことなった追加的な作業が加わると思われる。
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