2010 Fiscal Year Annual Research Report
家計消費における規模の経済の推定:全国消費実態調査データの分析
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22530206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 皙 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (00195653)
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Keywords | 等価所得弾力性 / AIDS / 全国消費実態調査報告 / 集計データ / 家計規模の経済 / 消費者需要システム |
Research Abstract |
1989年から2004年にかけて行われた5年おき4波にわたる全国消費実態調査報告の都道府県別、年齢別集計データから等価所得弾力性を推定した。従来、家計規模の経済を考慮した実質所得分布の研究では等価所得弾力性の値を先験的に与えていた。もっとも広く行われてきたのは弾力性を0.5とする平方根スケールである。 本研究では年齢ごと、世代ごとに異なる弾性値を取りうる個別家計の消費行動モデルを仮定し、それと整合的な支出シェアを決定する計量経済モデルを導出し、すべての消費的支出を網羅する11項目の財・サービスグループに対する支出行動を考慮したモデルを推定した。採用した関数形はAIDSである。 推定結果からは1984から趨勢的に弾性値は上昇する(すなわち家計規模の経済は小さくなる)傾向が見えるが、低下は近年鈍化していることがわかる。これらの傾向は家計消費の個計化の進行に対応していると考えられる。また弾性値の値自体は0.35から0.60程度でこれまで見られた欧米の値より若干低めである。弾性値の年齢プロファイルは逆U字型であり、20代から30,40代にかけて弾性値はさがり、50代で再び上昇する。 以上の結果をまとめ浅野皙、Ji-Jing Wang著"Estimation of Household Equivalence Scale in Japanese Household Consumption"を日本経済学会で発表した。
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