2011 Fiscal Year Annual Research Report
家計消費における規模の経済の推定:全国消費実態調査データの分析
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22530206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 皙 筑波大学, システム情報系, 教授 (00195653)
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Keywords | AI需要システム / QUAI需要システム / エンゲル曲線 / 家計規模の経済 |
Research Abstract |
モデルの構築 家族属性特に家計人員数を費用関数に組み込み、それが含意する需要関数をAI需要システム、QUAI需要システムで導出した。AI需要システムでは価格ベクトルに変動がない場合には家計規模の経済を示すパラメータ(「デルタ」と呼ぶ)は推定不能であるが、QUAI需要システムでは価格ベクトルに差異がない場合にもパラメータ推定は可能である。もちろん精度の高い推定を行うためには地域別価格データが入手、使用できればよいがデータの秘匿性から実際に推定を行うのは非常に困難である。一方、価格情報が入手できない場合にも、全国の価格ベクトルに大きな差異がない場合はQUAI需要システムの枠組を援用してデルタは推定できる。 データの整理、支出パターンの特徴把握 消費者実態調査の原票から居住地についての情報を除いたデータファイルから、家族属性を指定してサンプルを抽出するルーチンを整備した。抽出したサンプル群ごとに11品目(食料、住居、光熱費、衣類、家具家財、交通、通信、医療、教育、余暇レクリエーション、雑費)の支出シェアを導出し、散布図を描いた。その結果いくつかの支出項目で支出シェアは総支出の対数について線形とはならない、特に支出分布の両端で線形からの乖離が大きくなる、ことが判明した。このことは個票レベルではAI需要システムではなく、より一般性の高い二次項まで導入したQUAI需要システムが当てはまるであろうことを示唆している。一方、多くの家計が集中している中位階級については線形のパターンで十分良好な近似が得られる。以上より所得分布の両端までを分析対象にする場合はQUAI需要システム、代表的家計の分析にはよりシンプルなAID需要システムを採用するのが妥当と考えられる。このことは筆者らがこれまで集計量データからAI需要システムを推定した際に良好な結果を得たことと整合的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RAとして雇用予定だった大学院生が雇用できなかったためデータの事前処理が遅れている。推定に使用する理論モデルの構築は進んでいるが、実証結果が出せる段階にいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
データ整理を行うRAを確保するめどがついたので、これまで遅れていたモデル推定作業に入る。推定作業と平行して理論モデルの構築で得られた結果をまとめる。
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