2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化は貯蓄率低下の主要因なのか?ー日本の家計調査ミクロデータによる分析ー
Project/Area Number |
22530207
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
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Keywords | 貯蓄 / 高齢化 / ライフサイクル / 家計調査ミクロデータ |
Research Abstract |
日本の家計調査ミクロデータ(総務省統計局集計の『全国消費実態調査(平成元年、6年、11年、16年)』)については、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターで実施される「学術研究・高等教育のための公的統計ミクロデータ利用」に申請し、匿名データの提供依頼の申出が承諾された。その後、利用条件を遵守した上で、データ整理、編集作業を行った。 本研究では、『全国消費実態調査』のクロスセクションから疑似パネルデータを作成して、家計の貯蓄分析を行った。家計貯蓄率は、家計の世帯主の年齢(年齢効果)、家計の世帯主が属する誕生年のコーホート(コーホート効果)、調査年(年効果)に依存する。元の数式は同時性の問題が発生しており(完全多重共線性)、貯蓄に対するこの3つの効果は完全な線形関係にある。こうした同時性の問題は、セミパラメトリック計量モデルで解決できる。基本的に、このモデルでは、コーホート効果を示す誕生年のダミー変数からなる変数行列を、誕生年からなる一つの変数に置換する。その際に、「コーホート効果が非線形の影響を貯蓄率に与える」という重要な修正を加える。この非線形効果を、セミパラメトリック回帰モデルで推計する。 このセミパラメトリック計量モデル推計を実施し、推計論文の第一草稿を執筆開始した。この推計論文が完成し、2011年度日本経済学会秋季大会における論文報告の申請手続きを実施した。
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