2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530208
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大谷 一博 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00106626)
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Keywords | リッジ回帰推定量 / LINEX損失関数 / 決定係数 / 自由度修正決定係数 / Pitmanの近さ規準 / 加重平均推定量 |
Research Abstract |
1.本研究では、Huang(1999)によって提唱された回帰係数を個別に推定するためのリッジ回帰推定量に、ゼロ制約に対する予備検定を導入した予備検定リッジ回帰推定量を考え、LINEX損失関数のもとでのリスク関数を導出した。LINEX損失関数では、通常使用される自乗誤差関数とは違い、過大推定と過小推定を等分に評価しないが、このように非対称な損失関数の場合でも、予備検定を行うことが推定効率を増加させることを示したことは、意義のあることである。 2.本研究では、回帰モデルのいくつかの説明変数が誤って省略されるという特定化の誤りがある状況を仮定して、Pitmanの近さ(PN)規準のもとで決定係数(R^2)と自由度修正決定係数(AR^2)を比較した。PN基準を表す確率の精密な公式を導出し、精密な公式に基づいてPN規準を表す確率の数値計算を行い、モデルが正しく特定化されているときにはAR^2がR^2よりも優れているが、特定化の誤りがあるときには、R^2の方がパラメータ空間の広い範囲でAR^2よりも優れていることを示した。通常は、AR^2の方がR^2よりも信頼性が高いとされるが、特定化の誤りがあるときには必ずしもそうではないことを示したことは、意義のあることである。 3.本研究では、Huang(1999)によって提唱されたリッジ回帰推定量と最小自乗推定量の一次結合で表される加重平均推定量を考え、LINEX損失関数のもとでの加重平均推定量のリスクを分析した。損失関数の非対称度が大きい場合、リッジ回帰推定量が加重平均推定量および最小自乗推定量よりもパラメータ空間の広い範囲で小さいリスクをもつことを示したことは、これからの研究に一定の方向性を与えるものである。
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Research Products
(3 results)