2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化する日本の国内企業立地に関するミクロ計量実証研究
Project/Area Number |
22530218
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
冨浦 英一 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40273065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 敏弘 慶応義塾大学, 経済学部, 准教授 (80510255)
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Keywords | 企業立地 / ミクロ・データ / 工業再配置政策 |
Research Abstract |
本研究の初年度に当たる昨年度に収集・整備・加工した工業統計ミ'クロ・データの推定結果を、今年度は論文としてとりまとめる作業を行った。特に、本研究開始当初に中心テーマとして設定した点に取り組んだ。即ち、1980年代を中心に、工業再配置政策(特にテクノポリスと頭脳立地)が事業所の立地に与えた影響を生産性に注目して分析した。その結果、これら政策は、事業所を中核・集積・過密工業地域から周辺・地方に誘導することには成功したものの、比較的生産性の低い事業所の方が周辺に立地する傾向がわずかながら観察され、国内における中核・周辺間の生産性格差をむしろ拡大することとなった面があることが明らかにされた。この結論は、New Economic Geographyの一部の理論モデル(Baldwin and Okubo(2006)Journal of Economic Geography)が予測する仮説と整合的である。因果関係の方向性の特定は難しいとはいえ、ミクロ・データの活用により明らかになった事業所の生産性分布も用いて仮説の検証を試みた。今日においても多くの国々で講じられている地域の産業振興政策にとって意味のある結論と解釈できる。 また、こうしたグローバル化が本格化する以前の時代を扱う研究と平行して、日本企業の最近の立地を分析する上で欠かせない海外における立地パターンに関連して、日本の機械産業における貿易と国境効果の関係を実証分析した他、日本企業のミクロ・データを用いてアジアに立地する企業とその他地域(主に欧米先進国)に立地する企業を比較すると生産性に有意な差が見られることを見出した実証分析についても、それぞれ論文にとりまとめて公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的の中心であったBaldwin and Okubo(2006)Journal of Economic Geographyの理論仮説を応用し工業再配置政策が日本の国内立地に与えた影響について分析することを実行し成果をとりまとめたため。
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Strategy for Future Research Activity |
政策効果(工業再配置政策が日本の国内立地に与えた影響)については研究を行い成果をとりまとめたので、今後は、生産性の分布情報についての更に詳細な分析や、企業の分析にとって重要な企業内部組織と国内立地の関係の分析等、同じ事業所レベルのミクロ・データを引き続き用いて計量実証研究を行う。
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