2013 Fiscal Year Annual Research Report
寡占的競争下の先渡し市場・スポット市場を考慮した排出権取引制度の研究
Project/Area Number |
22530220
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環境政策 / 排出権取引 / 寡占競争 / 先渡し市場 / スポット市場 |
Research Abstract |
最終年度には、2つの方向で研究を実施した。第一は、これまでに構築した個々の理論モデルを統合し、シミュレーション分析も踏まえ、望ましい環境規制に関する政策的含意を吟味した。第二は、これまでの分析を発展させて、さらなる環境政策のオプションを考慮したモデルとシミュレーションの拡張を試みた。 これまでの研究において、財取引市場と排出権取引市場に関して、「一産業モデル」から「複数産業モデル」に拡張を行い、さらに寡占競争下における「先渡し市場・スポット市場モデル」を構築した。これらの理論・シミュレーションを統合した分析から一貫して得られた結果は次のとおりである。すなわち、温室効果ガスの排出量の多い寡占企業(例:石炭中心の発電会社)よりも、排出量の少ない寡占企業(例:天然ガス中心の発電会社)に対してより多くの排出権を配分する場合、一定の条件のもとでは、戦略的行動への影響を通じて(1)寡占産業の財価格、(2)完全競争産業の財価格、(3)排出権価格のすべてを同時に低下させることができる。こうした結果は、現実の排出権配分の仕組みをつくる際の基本的かつ重要な視座を与える。 現実の環境政策では、排出権取引に関連して様々な規制オプションが存在する。そこで、規制オプションの一つである再生可能エネルギーに係るRPS制度(Renewables Portfolio Standard)について、理論モデルと実証・シミュレーションの点から発展的な分析を行った。特に、既存のドミナントな発電会社と新規参入のフリンジの発電会社を想定するモデルを考察した。その結果、ドミナントな企業の電源構成が主に非再生可能エネルギーである場合、この企業は戦略的に再生可能エネルギー・クレジット(REC: renewable energy credit)の価格を下げるように操作する一方、電力価格を吊り上げる操作をする誘因があることが、理論と定量分析から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)