2010 Fiscal Year Annual Research Report
動学的マルコフ均衡解を用いた寡占市場の構造推計とシミュレーションによる政策評価
Project/Area Number |
22530245
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
楠田 康之 日本福祉大学, 経済学部, 准教授 (60253689)
|
Keywords | 構造推計 / 動学的寡占ゲーム / 完全マルコフ均衡解 / マルコフ過程モンテカルロ法(MCMC) |
Research Abstract |
平成22年度の研究目的は、基礎的な動学的寡占モデルの統合的な編纂と実証研究の準備の完了であり、具体的な作業としては、動学的寡占ゲームモデルの再検討として先行研究の分類と各研究の論点整理を行い、その土台に立ち、数値計算プログラムの設計と開発を進めることであった。 研究成果としては、まず、先行研究論文の収集と分類を行った。この作業は次年度以降も引き続き継続していく。 次に、理論モデルと数値計算のケーススタディとしてフランチャイズ・チェーンをとりあげ、論文「参入・退出をともなう動学的フランチャイズ市場と再販売価格維持」にまとめ、日本経済学会(2010年9月18日、関西学院大学)その他の研究会(名古屋大学、慶応大学、神戸大学)で報告を行った。この研究は実証データを用いたものではないが、シミュレーションによってフランチャイズ・チェーンにおける再販売価格維持行為(RPM)に対する規制を分析し、政策評価を行ったものである。その結果、政策変更にともなって主体が意思決定を変更する"counterfactual"な結果に対して知見が得られた。これは次年度以降で予定されている実証研究の土台として位置づけられるものである。 さらに、ビール類に関するPOSデータを購入し、静学的な需要モデルの推定を行う準備を開始した。すでに、研究計画書「ビール類市場の需要分析(仮)」を作成し、ホームページ上で公開済みである。この研究で用いる理論モデルは動学的なものではないが、需要関数の導出に関して次年度以降の理論的基礎となるものと考えている。
|