2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530249
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
衣笠 達夫 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (30186283)
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Keywords | 地方公共団体 / 生産・費用構造 / 有形固定資産 / パネルデータ / 生産関数 / 生産性分析 |
Research Abstract |
本研究は、地方公共団体の生産・費用構造を分析し、その生産性や効率性を明らかにしようとするものである。公共的な企業の民営化・規制緩和は世界的な潮流であり、民営化・規制緩和による生産性の変化を十分に分析する必要がある。現在、民営化・規制緩和の動きは地方公共団体の業務にまで及んでいる。そこで本研究では地方公共団体そのものの、業務の生産性分析を行うことを目的としている。 研究代表者はこれまで、公益事業や地方公営企業に関して生産・費用構造の分析を行ってきた。本研究では、これらの経験と開発した手法を用いて、地方公共団体を「企業に類似したある組織体」と見た場合の、生産・費用構造を分析することを目的としている。 平成22年度には、その第1段階として兵庫県内の市町村の地方公共団体のパネルデータを用いて、コブ・ダグラス生産関数を推定した。この結果、公共団体の総職員数と行政本体の有形固定資産とを説明変数とし、市町村分配所得を非説明変数とする生産関数が無理なく説明することができた。 平成23年度には、次に市町村毅階の地方公共団体の、複数財生産のトランスログ型生産関数を推定した。しかしこの成果をいくつかの研究会において報告した結果、「地方公共団体の事務の一部民営化や民間委託を考慮すると、公共団体が供給している財の『公共性』に関する分析が必要ではないか」という意見があった。そこで次に『公共性』に関する分析を行うこととした。現在、アマルティヤ・センの「ケイパビリティ」の概念を計測するように、考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の研究実績の概要にも記述したが、地方公共団体の用務における「公共性」の位置づけを少し考察することにした。そのため、現在のところババーマス、ハナ・アーレント、宇沢弘文、宮本憲一らの業績を研究中である。さらに東日本大震災の影響により、データ収集が遅れがちである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、昨年度までの成果を生かして、『公共性』に関する学会発表を行う予定である。ババーマス(1962)や宮本憲一(1967)、(1980)、宇沢弘文(1994)、(2005)の業績を通じて、地方公共団体が事務を民間移管する際の基準として挙げる必需性・公益性の2軸モデルに欠けている視点を発見した。それは多様性軸である。『公共性』をこの3軸モデルで評価した研究成果を学会報告する予定である。この多様性軸を、アマルティヤ・センによって考案された「ケイパビリティ」の概念に結び付けようと考えている。 その後、『公共性』の代理変数としての「多様性」を、目的変数に含めた生産関数を設定する予定である。平成24年度にはぜひこれを推定したいと考えている。
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Research Products
(4 results)