2011 Fiscal Year Annual Research Report
新興工業国における産業楮高度化と中間財産業(韓国のケースを中心に)
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22530265
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金 奉吉 富山大学, 経済学部, 教授 (80314467)
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Keywords | 中間財 / 産業競争力 / 輸入依存度 / Nutcracker現象 / 産業構造高度化 |
Research Abstract |
研究計画通り、韓国の自動車産業を含む主要産業と関連部品・素材産業の実態についての関連データの分析と文献調査を行うとともに韓国における部品・素材メーカーを中心に実体調査を並行した。また、産業連関表、貿易データなどを用いて国際競争力の中間成果とも言える中間財の輸入依存度、生産性などについて分析を進めた。 韓国の産業連関表を使って主要産業の中間財の投入に占める輸入中間財の割合などの分析を行った。その結果、中間財の輸入依存度は(1995年、2000年、2005年)、全体的には貿易収支の改善という貿易の成果とも似たようなパターンが見られるが、電子機器部品、コンピューター及び事務機器など一部の部品については逆にその割合が増加していることが分かった。また、日本からの中間財の輸入が減少はしているが、部品設備などを中心に依然として対日輸入依存度が高いことが確認された。 また、実態調査の場合、今年度は主に第2次部品メーカーを中心に生産技術及び品質管理などについてインタービュー調査を行った。第2次部品・素材メーカーの場合、依然として第1次メーカーや組み立てメーカーからのコスト削減の圧力が強く、汎用部品については中国との競争が激しくなるなど経営環境がますます厳しさを増していることが確認された。すなわち、韓国の部品・素材産業の場合、高付加価値分野での技術進歩が遅れている一方、汎用分野においては中国などの新興国の追い上げが急速に進んでいる、いわゆる日本と中国の間でのNutcracker現象が依然として続いているといえる。 以上の分析から韓国の産業構造高度化パターンと部品・素材産業との関係が明らかになり、今後の韓国の部品・素材産業の育成政策と関連した政策的課題、そして後発工業国の産業政策に対する政策的含意を導き出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画通り進んではいるが、韓国での部品・素材メーカーに対するアンケート調査が年度初めの予算配分の不確定、また、韓国の関連メーカーや協力機関との口程調整などの要因が重なり、結局インタービュー調査に変わった。しかし、主な部品・素材メーカーに対するインタービューなどが思ったより充実しており、全体的な実態把握には問題がないと思あれる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本課題の最終年度であり、韓国の部品・素材産業の育成政策を中心に分析を進めるとともに、2年にわたる調査研究に基づき最終報告書を作成する。また、前年度まで行った実態調査の内容の確認のため、国内1回、韓国1回の出張を計画している。 研究成果は、韓国の協力機関とともに国際シンポジウムの開催を予定しており、研究成果の普及につとめる。
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Research Products
(2 results)