2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国の地域環境整備におけるソーシャルインクルージョンの役割に関する調査・研究
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22530279
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
内藤 二郎 大東文化大学, 経済学部, 教授 (50365855)
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Keywords | 環境 / ソーシャルインクルージョン / 協働 / 地域 / コミュニティー |
Research Abstract |
中国・内モンゴル自治区における地域環境整備に向けての学術的調査を順調に進めることができた。特に、本年度は政府と企業、そして現地住民の協働の枠組みを具体的に構築し、農業と牧畜の複合経営を進めつつ植林を通じた環境整備の仕組みを構築することができた。ソーシャルインクルージョン・アプローチを応用して内モンゴルにおける地域環境政策、地域再生に向けた「新たな公共」の仕組みが一応完成し、モデル化を進めている。内モンゴル東部・阿魯科爾沁鎮(天山市、チャイダム村、ウナガ村)でも禁牧(放牧禁止)が逐次政府により指示され、牧民は羊や牛の飼育の必要性に迫られて対応に苦慮している。そこで、新たな牧畜の方法として畜舎建設-飼料生産-肥育-出荷、という一連の流れのモデル作りを企業の協力を得て進めてきた。現地政府や地元住民から高い関心が寄せられている。その最大の目的は、牧民や農民が目先の収入を期待して安易に土地を手放す傾向にあることから、これを食い止め、現地住民を自立させてコミュニティーを維持、発展させつつ、同時に自然環境を守る方策を講じることにある。しかしながら、コミュニティー、経済再生を含む地域環境整備、同時に自然環境の再生を目的とした取組みを理解する現地住民は限られており、教育、啓蒙活動が大きな課題である。牧畜地域での合作社関係者との意見交換、植林の状況視察から、牧畜業における政府・企業・住民の協働のモデル作りが着実に進展していることに強い自信を得ることができ、大きな成果となった。また、放牧禁止となっても飼育をするすべを知らない牧民たちが、我々の取組みに強い関心を抱いていることが、今後の地域の活性化の原動力として大いに期待される。他方、もう一つの重要な課題である植林事業についても、阿魯科爾沁鎮(天山市、チャイダム村、ウナガ村)の農民・牧民が引き続き複合経営の一環として植林を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎年3回の現地調査を行っている。また、現地政府、研究者、地元住民とのネットワークも構築でき、様々な資料、情報収集が可能となっている。最終報告の準備として、論文1編の発表も行った。以上から、本研究は当初の計画に沿って概ね順調に推移していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地の地元政府、地元住民からも注目されており、今年度は具体的成果を得ることが最大の目的である。引き続き根気強く現地視察と指導を実施し、モデル化の完成を目指す。なお、今年度は本研究の最終年度として、これまでの成果の総括と次への課題を整理する。現地の研究者等とも協力を進めている。
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Research Products
(1 results)