2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530290
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 圭司 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (60208444)
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Keywords | 教育と経済 / 公教育費 / 教育不平等数 / 教育ジニ係数 / 教育クズネッツ曲線 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人口構造の変化と公教育費の関係を、マクロ経済学的視点から、計量経済学手法を用いて明らかにすることである。最終的には日本の都道府県別データを用いた分析結果を報告することを念頭においているが、研究初年度である平成22年度においては、近年著しく発展してきている計量分析手法の吟味、実証分析に向けての応用可能性を探ることに主眼をおいて、関連文献、先行研究の批判的検討を行った。同時に、パネルデータ分析を適用する作業に従事し、教育水準(人々の平均教育年数で指標化)と教育の偏り(教育ジニ係数を算定して指標化)の間に逆U字の関係(いわゆる教育クズネッツ曲線)が存在するかという問題に取り組み、中国省別データを用いて、教育不平等、一人あたりGDPおよび平均教育年数をそれぞれ被説明変数とする同時方程式モデルの推定結果から、中国では逆U字ではなく、むしろU字型の関係があることを明らかにした。また、そこでは、操作変数として一人あたり公教育が有意な説明変数となることを見出している。教育と経済成長の関係を明らかにすることは伝統的な研究課題であるが、所得の水準だけでなく所得格差の要因として教育あるいは教育不平等が問題視される今日の状況からみて、教育不平等をどのように指標化するかという課題とともに、そこでの公教育の役割を明らかにすることは、重要な研究課題と考えられる。そのような視点から、22年度の研究成果として、近年の経済成長著しい中国においては、平均教育年数の増大という形で顕在化している教育の拡大は、教育の不平等を増大させる可能性があるという分析結果は、意義深いものと考える。
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Research Products
(3 results)