2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530294
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 英司 西南学院大学, 経済学部・経済学科, 准教授 (20368971)
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Keywords | 社会関係資本 / 経済発展 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主に個票レベルのデータを利用することにより、社会関係資本がどのように人間の意識や行動とかかわっているかを、世界各国の制度的基盤(法律、歴史、文化)の違いに着目しつつ明らかにすることであった。本年は、国際比較を行うまえに、まず日本において社会関係資本がどのような役割を果たすかを分析するためにデータを整理した。具体的にはJGSSデータと各都道府県別データの統合を行い個票レベルのデータを構築した。現在はこのデータを利用して、家計の行動を分析している。 一方で、以前から行ってきた都道府県レベルの集計データを利用した研究のうち、3本の論文が国際学術専門雑誌に掲載された。これらの研究では、それぞれ(1)社会資本が自殺をいかに抑止する働きをするかを分析したところ、社会資本の自殺抑止効果が男女間で大きく異なることが明らかになった。(2)社会資本が自然災害の被害をどの程度軽減するかを検証した。その結果、社会資本が大きい地域ほど、自然災害の経験をより有効に生かして災害の被害を小さくなることが分かった。(3)社会関係資本が人的資本形成に与える可能性を、小中学校の長期欠席データを用いて検証した。検証結果は、社会的資本が大きいほど長期欠席比率が低下する傾向を示していた。これらの研究はいずれも個人レベルの特性を考慮した分析ではないために、推定結果の精度はそれほど高くはない。本年度構築した、個票レベルのデータを用いることにより、さらに詳細かつ精度の高い分析を行うことが今後の課題として残されている。
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