2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530298
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Research Institution | 一般財団法人電力中央研究所 |
Principal Investigator |
服部 徹 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 上席研究員 (70371218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 まどか 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (00556780)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | エネルギー産業 / 競争 / 効率性 / 公益性 / 低炭素社会 |
Research Abstract |
平成24年度は,わが国の家庭部門の電力とガスのエネルギー間競争が,中小都市ガス事業者の費用効率性に与える影響について分析した。まず,平成23年度に実施した,電力と都市ガスの需要の代替の弾力性の推定結果から,気候条件が寒冷で,世帯人数が多く,新築住宅割合や高齢者人口の割合が高く,世帯所得が大きい地域ほど,エネルギー間競争が働きやすく,そうした地域の事業者では費用の効率化が進んでいるという仮説を検証するための費用関数のモデルを構築した。そして,中小都市ガス事業者の2007年から2009年の3年間のパネルデータを用いて,その費用関数の推定を行った。その結果,エネルギー間競争が働きやすくなる要因のうち,新築住宅割合と気候条件が実際に費用の効率化に寄与していることが分かった。すなわち,わが国では,エネルギー間競争が実際に働いて,都市ガス事業者の効率化を促したものと考えられる。この分析結果については,推定手法などに改善の余地も残されているが,これまであまり明確に捉えることができなかったエネルギー間競争の効果を計量経済学的手法によって確認できた点で意義がある。 また,東日本大震災後の電力不足や原子力停止の状況がエネルギー間競争に及ぼす影響について,大手都市ガス事業者の対応状況を踏まえた考察を行った。震災後に電力不足の問題が深刻化し,消費者のエネルギーに対する意識が変化する中で,エネルギー間競争を取り巻く状況も変化しており,近年伸び悩んでいたコージェネレーションや燃料電池の普及が進んだり,大手都市ガス事業者の収益に占める発電ビジネスの割合が高まったりしていることを確認した。十分な分析と考察には至らなかったものの,わが国のエネルギー政策の見直しや電気事業制度改革の具体的な検討においては,それらがエネルギー間競争に与える影響を考慮する必要性を示した点で意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)