2010 Fiscal Year Annual Research Report
経済システムにおける政府と第三セクターの適切な行財政関係の設計
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22530302
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 伯朗 東北大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10263550)
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Keywords | 第三セクター / 進化ゲーム理論 / フランス / 共済 / 協同組合 |
Research Abstract |
平成22年度は、理論的な面においては、進化ゲーム理論を基礎とした社会集団の形成に関する研究を行った。ある利得表を基礎にした時、いくつかの行動パターン別に分類される経済主体同士の繰り返しゲームは、適応力の高い行動パターンをとる主体の比率を増加させ、低い主体の比率を減少させる。とりわけ、当初相手の情報が分からない中で互恵的な行動をとることが長期的には最も高い利得をもたらすことが明らかとなっている。22年度においては、かかる進化ゲーム理論が、政府、企業、第三セクターというそれぞれ固有の行動パターンを持つ経済主体の盛衰の分析にきわめて有効であることが明らかとなった。実証的な面においては、第三セクターの活動が活発な国の一つであるフランスについて、その法制度や組織の検討を行った。その結果、中央集権的な国の代表とされているフランスの公的組織は、実は共済や協同組合等独立性を持った組織と密接な関係を持って運営されており、特に福祉や年金、保険といった社会サービスを運営する公的機関はかつて第三セクターがもっぱら行っていた上記の活動に政府が責任を持つ形で成立したことが分かった。よって、一見政府の役割が大きな国に見えるフランスは、政府と第三セクターとの関係という視点から見た場合、相当分権的な国であることが明らかとなった。
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