2012 Fiscal Year Annual Research Report
経済システムにおける政府と第三セクターの適切な行財政関係の設計
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22530302
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 伯朗 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10263550)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 第三セクター / 利他性 / 社会サービス / 非営利組織(NPO) |
Research Abstract |
最終年度である24年度は、本研究課題の理論面および実証面でのとりまとめを行った。年度当初の研究計画に予定していた資料収集等のための旅行に関しては、研究に必要な資料を書籍・論文等の入手によって集めることができたので、行わなかった。 理論的な側面では、NPOをはじめとした第三セクターの形成においては、「信頼」によって特徴づけられる人間関係またはソーシャル・キャピタルが重要な役割を果たすことが明らかとなった。また個々の主体が組織を形成するプロセスに関しては、繰り返しゲームにおける「進化安定戦略」によって制度や組織が形作られることがすでに主張されているが、かかるプロセスにおいて、個人が他者に対して持つ利他性や信頼性の程度によって、共同性を持つNPOや地域コミュニティ等の組織の経済全体に占める地位が決まってくることが予想されることが明らかとなった。 実証的な側面では、公的年金および企業年金の歴史的な展開に関して日本とドイツの比較を行った。そこでは、ドイツの年金制度が、共済組合等の自発的な相互扶助組織から発展してきたのに対して、日本では公的・私的年金制度ともに政府による再分配政策として形成されてきたことが明らかとなった。そして、かかる差異をもたらした理由として、日本の公的・私的年金組織がドイツにくらべて、政府とも企業とも異なる相互扶助性という、本来NPO等の利他的組織が持つ性格に乏しいからではないかという見通しを示した。 よって、上記の特徴をもつNPOその他の経済組織の社会的重要性を前提とする限り、その経済において占める地位や活動の自律性に応じて、政府は代替的または補完的な役割を果たす必要があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)