2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530304
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
別所 俊一郎 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (90436741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 公子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80350213)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 政府間財政関係 / 所得再分配 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本の中央・地方政府間,および地方政府間どうしの相互依存関係を,財政的・政治的な制度的要因が与える影響を十分に考慮しながら,理論的に考察し統計的手法によって検証することにある.平成24年度の実績は以下のとおりである.第1は,都道府県の財政規律の維持に中央政府が果たす役割についての理論的・実証的検討である.都道府県で働く中央政府の官僚は,中央政府とのパイプ役を果たしているされているが,「外部者」として独特な役割を果たしているかもしれない.本研究では,財政逼迫が深刻化する90年代後半以降,出向官僚が財政再建のためのコミットメントデバイスの役割を果たしてきた可能性を指摘し,現実妥当性を確認した.第2は,子育て支援政策についての実証分析である.財政学では所得再分配の企画・立案は中央政府の役割とされてきたが,日本の地方政府は医療福祉分野で所得再分配を目的とする単独事業をさまざまに行ってきた.そのため,乳幼児医療費助成や妊婦健診助成といった子育て支援策にも市町村間で違いが見られる.子供一人当たりの子育て支援費用は,高齢化率と正の,子供人口比率とは負の相関をもち,また財政力とは非線形の関係を持つことを指摘した.第3は,政治制度的要因が委任のあり方にどのように影響するかを理論モデル分析によって明確に示したことである.政策決定の委任に関する従来の理論モデルは,選好が異なる他者,あるいは情報優位にある他者に,意思決定の権限を授けることの利益を示すことに,重点を置いているものが多い.一方,本研究の理論モデル分析は,選挙過程を経なければならない者が選挙過程を経る必要のない者に,意思決定を委任する合理的理由があることを示すことに重点を置いた.本研究で開発した理論モデルを拡張して,今後,様々な政治体制と委任の関係性について国家間の比較分析を行うことも可能である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(17 results)