2012 Fiscal Year Annual Research Report
リレーションシップバンキングにおける貸出金利戦略の研究
Project/Area Number |
22530307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 克俊 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80292746)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 信用リスク / 情報の非対称性 / オークション / 構造推定 / 銀行 / 中小企業 |
Research Abstract |
本研究では、銀行による貸出金利の設定の戦略的側面を実証的に分析した。契約理論に基づくと、借入企業の信用リスクに直面する銀行は、戦略で貸出金利を提示すればライバル銀行との競争に勝つことができるかを考える。高い金利を提示すれば、収入はあげることができるが、優良な顧客を失うかもしれない。逆に、ライバルよりも低い金利を提示してしまうと、実は信用リスクの高い借り手に貸すことになってしまい、大きな損失を被ってしまう。ここでは、銀行が借り手の信用リスクを知っているかだけでなく、他の銀行がその企業の信用リスクを知っているかも問題になる。本研究ではSharpe (1990)やvon Thadden (2004) のモデルに基づく最適ビッド関数について、観察される均衡ビッド(金利)の分布や尤度関数に現れるパラメタの推定を試みた。 データは、中小企業の借入金利や共通の信用リスクのデータである。このデータを利用して、観察されないシグナルの正確度(具体的には、借り手の信用リスクが低いときの、銀行が低いシグナルを受け取る条件付き確率)を推定した。 分析の結果、銀行の貸出戦略には、理論モデルで想定されるような側面が見いだされないということがわかった。言い換えれば、均衡ビッド関数が満たすべき性質は満たされず、また、リーズナブルな範囲では、均衡ビッド関数のパラメター値がえられないということが分かった。つまり、銀行の貸出市場では、非対称情報が意味のある影響をもっていないという結論がえられた。ただし、この結果がえられた理由として、データの特異性などの問題があったかもしれない。 この結論は政策的インプリケーションが極めて強く、社会的な意義も大きいので、その適用には注意深い判断が必要とされる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)