2010 Fiscal Year Annual Research Report
評価効果による対外調整メカニズムに関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
22530309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩本 武和 京都大学, 経済学研究科, 教授 (80223428)
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Keywords | グローバルインバランス / 評価効果 / 対外投資ポジション / 対外純資産 / 金融危機 |
Research Abstract |
本研究が基本的に依拠するLane and Milesi-Ferretti及びGourinchas and Reyによる共同研究は、ブレトンウッズ期から、グローバルインバランスが最も拡大した2005年頃までの、長いタイムスパンを対象にしている。本研究では、2007-08年の世界金融危機の前後を比較研究することを目的としているので、初年度は、まず準備作業として、金融危機前の米国の対外不均衡(経常収支および評価効果を含んだ対外純資産)調整の要因分析を、1995年を起点にとった10年間について検討した。 また、同じ期間(1995年-2005年)を対象に、「対外不均衡の調整」における「評価効果」が果たす役割について検討した。その結果、日米の対外投資ポジション(IIP)における評価効果が、全く非対称的な動きを示していることが実証され(例えば、アメリカのキャピタルゲインが増加[減少]しているときは、日本のそれは減少[増加]している)、その原因が日米のIIPの資産別・通貨別構成の違いによるものであり、資産価格や為替レート変動のIIPに及ぼす効果が逆に出るためであることが判明した。 なお本年度2月~3月にロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)に客員研究員として滞在し、受入教授であるJan Toporowski教授をはじめとするSOAS経済学部スタッフと、本研究テーマをイギリスについて比較検討する機会を得た。これらの成果については、すでに論稿を準備しており、次年度早々に学術雑誌に投稿する予定である。また本研究の成果を、分かりやすく市民および学生に講演する機会を2回持ったが、「11の研究発表」はその成果の一部である。
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Research Products
(3 results)