2012 Fiscal Year Annual Research Report
人的資本蓄積と移行経路を考慮に入れた動学的歳入推計分析
Project/Area Number |
22530314
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西岡 英毅 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (20218118)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 財政学 / Dynamic Scoring / 動学的税収推計 / 資本所得税 / 移行径路 / シミュレーション分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動学的税収推計を行うこと、すなわち、税制の変更による経済活動の変化が課税ベースを変化させることを通じて税収にフィードバックする効果を考慮に入れて、長期的な観点から税収の変化を推計することにある。本研究ではこれまで標準的な経済成長モデルを用いて分析してきたが、そのようなモデルでは(税収の中で大きな割合を占め重要な)法人税の分析をするのには不十分である。というのは、法人税の税収変化を分析するためには、例えば法人税減税によって企業の資金調達方法や配当政策に対してどのような影響が及ぶのかを考慮する必要があるし、このような企業の金融面の意思決定の変更が家計のポートフォリオに対してどのような影響を及ぼすのかを分析する必要があるからである。このようなルートを考慮に入れることによって、従来のように資本所得に対する税を一括りに扱うのではなく、利子所得税、配当所得税、キャピタル・ゲイン税、法人税と分類し、各税収に対する効果を推計することが可能になる。本研究の意義は、以上の点を考慮に入れ、対数線形近似法を用いて、一般均衡動学モデルの枠組みで動学的税収推計を行う点にある。分析の結果、典型的なパラメータ値の場合、長期的にはキャピタル・ゲイン税減税の動学的フィードバック効果が一番大きくなるが、短期的に出現するマイナスのフィードバック効果の存在のために、全期間を考慮に入れた現在価値の意味で見た動学的フィードバック効果の観点からは、法人税減税の場合の効果が一番大きくなることが示された。また、異時点間代替弾力性が小さくなるほど、利子所得税減税、キャピタル・ゲイン税減税、法人税減税、の動学的フィードバック効果が大きくなることが示された。税制改革によって税収が長期的にどのように変化するかに関する数値情報は、今後の財政再建を意識した税制改革の議論にとっても、重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)