2011 Fiscal Year Annual Research Report
多変量ベイジアン・プライシング:理論構築と長寿リスク評価への応用
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22530317
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小暮 厚之 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (80178251)
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Keywords | ファイナンス / 長寿リスク / ベイズ法 / プライシング / リバースモーゲージ |
Research Abstract |
平成23年度は,本研究課題の2年目として研究の骨組みを支える中核的な研究を行い,その成果を公開した.具体的には,以下の通りである. 1.リスク要因の統計モデリングとそのインプリメンテーション 本研究の死亡率予測モデルとしてダイナミック・ファクター・モデルについて考察した.これは本研究に先行する研究において研究代表者が考察したLee-Carterモデルの多因子への拡張化であり,我が国データに対してよりよいフィットを得ることができる.その一方で多因子化により実際のベイズ計算は困難さを増す.平成23年度の研究により,多因子化における尤度識別性の問題が明らかになり,その対処法について考察した.また,長寿リスクをヘッジする手段の一つであるリバースモーゲージで必要となる住宅価格の変動について,ローカルレベルモデルを用いて考察を行った. 2.多変量エントロピー最大化原理とその応用 平成23年度の研究において多変量エントロピー最大化原理の性質がほぼ明らかになった.また,この原理に基づいて,我が国データを用いてリバースモーゲージの評価を試みた.そのために,上記1)で述べた死亡率と住宅価格の統計モデルに基づいてベイジアン予測分布を求め,多変量エントロピー最大化原理によって予測分布のリスク中立化を行った.この研究の成果は,第15回アジア太平洋保険リスク学会や第13回「ノンパラメトリック統計解析とベイズ統計」で報告した. 以上のほか,専用のホームペーによる本研究の公表を昨年度に引き続き行った.また,本研究全体を下支えする活動としてベイズ統計学に関する翻訳書を出版した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度までに,交付申請時に記載した研究目的である「多変量ベイジアンプライシングの原理」をほぼ構築できたため.また,そのリバースモーゲージへの応用についても順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も交付申請時に記載した推進方策通りに研究を進めていく.
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