2010 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機対策の政策評価-同時方程式を用いた日米金融機関の実証分析
Project/Area Number |
22530325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
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Keywords | 銀行 / 貸し渋り / パネル分析 / 金融危機 / 金融規制 |
Research Abstract |
本研究の最終的目標は、金融危機への対応策を探ることである。そのために、まず、日本のバブル崩壊後の金融問題について分析を行い、次に、アメリカにおける金融危機対策について分析する。 平成22年度は、邦銀について、従来のいわゆるクレジットクランチ(銀行の貸し渋り)に関する実証研究を、より精緻化された方法で行った。産業別の貸出データを用いることで、1990年代の貸し渋りが産業別にどのような影響を与えたか、ということに特に注目した。なかでも、バーゼルアコードと不良債権が貸し出しに与えた影響を考えるために、自己資本比率と不良債権比率と、それぞれについての係数ダミーを含めた推計を行った。さらに、1997年の早期是正措置にともなう自己査定が貸出行動に変化を与えていることを確認するために、特に1997年までと、それ以降の貸出行動に変化がみられるかどうかを調べた。 主な結論は、自己資本比率規制による貸し渋りの影響を大きくうけていたのは、不良債権を多く抱えた産業であったということだ。つまり、不良債権を多く抱えた産業ほど破たんの可能性が高く、銀行としては追い貸しを行っていた可能性が高い。1997年の早期是正措置以降は追い貸しもあからさまにやりにくくなったためにそのような関係がみられなくなってきている。今後、これらの結果を、データを拡充し、分析を変えていくことで、さまざまな方向から検証する予定である。
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