2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機対策の政策評価-同時方程式を用いた日米金融機関の実証分析
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22530325
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
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Keywords | 銀行 / 貸出 / バーゼルアコード / 金融規制 / 金融危機 / クレジットクランチ |
Research Abstract |
本研究の最終的目標は、金融危機への対応策を探ることである。そのために、まず、日本のバブル崩壊後の金融問題について分析を行い、次に、アメリカにおける金融危機対策について分析する。 平成23年度は、最近の規制の方向について調査し、検討した。また、これまでの同時方程式モデルを用いた分析結果を見直し、現時点での成果をまとめた。 規制については、バーゼルIIIの案がまとまり、2013年からの導入予定が明確になったので、その新しい規制の有効性について考察した。主な結論は、バーゼルIIIは資本の質を高める、流動性危機を考慮する、など、これまで手が付けられていなかった部分が改善されており、新たな規制として期待できる。一方で、リスクウェイトが格付けに連動することからくるプロシクリカリティについては解決することができておらず、バッファーを設けることが推奨されているものの、有効性には疑問が残る。 実証部分については、これまでの実証分析結果をまとめて検討した。データをのばしたり、バーゼルIIになってからの変化についての検討はまだこれからであるが、現時点でわかる範囲で、規制対策としての裁量的政策がどれくらい有効であったかということは明らかになった。 今年度は中間まとめとして、これらの結果をまとめた。次年度には、データをあたらしくした実証分析をすすめつつ、この中間成果について機会をみつけて学会などで発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果(学会発表や投稿)が出始めるのは次年度になるが、おおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データを新しくしたり、規制の動向について把握したり、これまでにまとめた成果を発表する。次の課題としては、2007年からのバーゼルIIがバーゼルIとどのように異なるのかを比較分析する。さらに、その分析をもとにして、2013年からのバーゼルIIIの効果について予測できる範囲で分析する。
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