2012 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機対策の政策評価-同時方程式を用いた日米金融機関の実証分析
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22530325
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合(長瀧百合) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 銀行 / 貸出 / バーゼル / 公的資金 / 同時方程式 / 自己資本比率規制 / プルーデンシャルポリシー |
Research Abstract |
本研究の最終的目標は、金融危機への対応策を探ることである。そのために、まず、日本のバブル崩壊後の金融問題について分析を行い、次に、アメリカにおける金融危機対策について分析する。 平成24年度は、主に、これまでの同時方程式モデルを用いた分析結果を見直し、現時点での成果をまとめた。まとめたものは、3月にWestern Economic Association International (実施大学:慶應義塾大学)で発表し、IMFやカリフォルニア大学、スタンフォード大学からの出席者と議論をし、一定の評価を得て、またさらなる改訂のためのコメントをもらうこともできた。 バーゼルなどのプルーデンシャル規制に関しては今年度もさまざまな変化があった。バーゼルについては、日本が2013年3月から新しい規制であるバーゼルIIIを導入したが、アメリカや欧州は導入を延期する動きがみられた。また、各国の独自規制が進展してきており、それらの影響も無視できない。そこで、今年度も、これらの規制の新しい動きについてのリサーチをすすめた。特に今年度の最後の方では、欧州の動きについてのリサーチをすすめ、来年度それらをまとめていく基礎ができた。 実証部分については、これまでの実証分析結果をまとめて検討した。データをのばしたり、バーゼルIIになってからの変化についての検討はまだこれからであるが、現時点でわかる範囲で、規制対策としての裁量的政策がどれくらい有効であったかということは明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バーゼルを中心とするプルーデンシャル規制が世界的に変化してきているため、予定外に米国、欧州における新しい規制の動きに関するリサーチを加えた。このため、実証研究の新たな結果を得るところまで進展できなかったが、特に遅れとして問題になることはない。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい点としては、日米だけでなく、欧州の規制の動向も調査研究することにしたことである。今後は、世界的に規制がどのように変化していっているかという現実の規制についてのリサーチをしつつ、データと統計的手法を工夫しながら実証分析をすすめる。また、これまでにまとめた成果を発表する。次の課題としては、2007年からのバーゼルIIがバーゼルIとどのように異なるのかを比較分析する。さらに、その分析をもとにして、2013年からのバーゼルIIIの効果について予測できる範囲で分析する。
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Research Products
(2 results)