2013 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機対策の政策評価-同時方程式を用いた日米金融機関の実証分析
Project/Area Number |
22530325
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合 (長瀧 百合) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 金融規制 / 銀行 / 貸出 / バーゼル / 同時方程式 / BIS規制 / 金融危機 |
Research Abstract |
本研究の目的は、金融危機への対応策を探るために、主に金融規制についてその影響を明らかにすることである。 平成25年度は、まず、国際的な金融規制であるバーゼル規制が、1990年代の邦銀の貸出行動に与えた影響を明らかにするために行った、産業別にみたパネル分析をまとめた。この論文の実証分析はすでに前年までに行い、論文の形にしていたが、それを最終的に修正して仕上げた。この論文は、明治学院大学「経済研究」に投稿し、掲載された。 また、すでに昨年度にある程度の形にまとめていた同時方程式モデルを用いた分析結果をAsia Pacific Economic Association(開催場所、大阪大学)、一橋大学金融研究会などで発表した。コメントのなかに、データ期間を拡張することを提案するものがあったため、バーゼルIの適用期間である2006年までデータを伸ばした。その際に、有価証券報告書を精査し、ほかのデータについても欠損値などがないか、法律と照合し、データの有無が間違っていないか、などについて細かく調査した。またそれ以外の発表時のコメントを反映して最終的に修正して論文を仕上げた。バーゼルなどのプルーデンシャル規制に関しては今年度もさまざまな変化があった。今年度は、特にアメリカの金融政策の動向について調べ、さらにアメリカの金融規制について調べた。 年度末には、最終年度に行う、バーゼルIIの実証研究への調査、準備を行った。最終年度には、バーゼルIIに関する研究をとりまとめ、さらにアメリカの分析を加える予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の銀行への金融規制への影響をまとめ、米国と比較し、金融危機の影響を防ぐための規制のあり方を追求するのが本研究の目的である。 現在までに、日本におけるバーゼルI規制の邦銀への影響はほぼまとめることができた。第一に、1990年代の日本の銀行の貸出行動について、産業別の貸出データを用いたパネル分析をおこなった。第二に、同時方程式モデルを用いた都市銀行に関するパネル分析を行った。これまで2002年までのデータを使用してきたのを、バーゼルI終了の2006年までデータを伸ばして分析した。 米国については、金融危機後の規制と金融政策について調査分析した。特に、バーゼル規制と並行的に導入されている金融規制改革法(ドットフランク法)がほぼ完成したため、それについて調査し、特にボルカールールなどに注目して分析した。さらに、最近の金融政策について調査し、危機後の総合的な米国の対応についてまとめた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるため、目標を期限内に達成できるように活動する予定である。 第一に、同時方程式モデルを用いた邦銀のパネル分析の論文を修正し、投稿する。第二に、昨年度に調査したアメリカのドットフランク法などの金融規制と、アメリカの危機後の金融政策をまとめて調査論文を作成する。第三に、あらたにバーゼルIIの分析を行う。 また、時間的余裕があれば、邦銀の同時法的式モデルの分析を地銀や信託にまで拡げる。 これらをまとめて学会報告、投稿をする予定である。
|
Research Products
(4 results)