2010 Fiscal Year Annual Research Report
投資家の合理性とトレーディングの意思決定に関する実験的研究
Project/Area Number |
22530330
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 克彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (90411793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 助教 (60509850)
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Keywords | プロスペクト理論 / 実験マーケット / Cognitive Reflective Test / 行動ファイナンス / トレーディング実験 / 心理的バイアス / リスク愛好 / リスク回避 |
Research Abstract |
本研究の目的に書かれているように、実験市場における投資家としての行動を分析するするためには、できるだけ現実のマーケットに近い実験市場を創設する必要がある。そのため、まずPhpを用いてバイアステストおよび株取引ゲームを行うための実験市場の構築を行った。次に、被験者についての心理的特性のデータを入手するため、人の認知判断バイアスについて、多くの質問票を用意し、実験市場に組み込んだ。当該年度の前半は概ね実験的研究を開始するための準備に費やされた。当該年度の後半には、関西学院大学のビジネススクールの学生らを被験者として実験を開始した。 関西学院大学ビジネススクールの被験者を対象とした実験は修了生を中心とした実験と、授業中に現役学生に実施した実験の合計2回行った。このどちらの被験者グループについても、非常に興味深いデータを得ることができた。認知的バイアスの強さとトレーディングにおける意思決定の間には特徴的な関係があることが明らかになった。認知的バイアスの強い被験者ほど、株式市場が変調を来たしたときに対応が遅く、高値で保有する株式を売却できない傾向がある。これはプロスペクト理論で言うところの、利得領域ではリスク回避的に振る舞い、損失領域ではリスク愛好的に振舞うという傾向が色濃くでているということである。認知的バイアスの低いグループにおいても、その傾向が観察されないわけではないが、認知的バイアスで分類した両グループには明らかな差異が認められた。 この発見は、当初仮説として想定していた通り、認知的バイアスとトレーディングの意思決定にはなんらかの関係があるということを示すもので、より詳細な実験を繰り返すことで、トレーダーへの向き不向きを簡単なテストで検出できる可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)