2011 Fiscal Year Annual Research Report
投資家の合理性とトレーディングの意思決定に関する実験的研究
Project/Area Number |
22530330
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 克彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (90411793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 講師 (60509850)
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Keywords | 実験的研究 / トレーディング / プロスペクト理論 / 合理性の尺度 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 投資家のトレーディングにおける合理性は,事前に予測できるかどうかを明らかにすることである.人間には損失回避バイアスがあるが,それには個人差がある可能性がある.仮に何らかのテストで個人差を特定することができるならば,市場関係の仕事に対する向き不向きを事前に特定することができる.個人差を特定するといえども、社会人経験のない学生、あるいは、社会人によっても反応は異なる可能性がある。さらに、市場関係者であるかそうでないかによっても大きな違いが存在する可能性がある。 そこで、本年度は、証券アナリストやトレーダーなど、マーケットに直に接触があるプロフェッショナルたちに、一般の投資家のようなdisposition効果が存在するか否かを調査した。更に、プロフェッショナルな投資家についてCognitive Reflection Testを実施した際に、そのスコアとdisposition効果について高い相関が見られるかどうかを調査した。詳細な検証は次年度になるが、データを概観した限りにおいて、学生や社会人、プロフェッショナルという職業によってCognitive Reflection Testの平均値には差がないことが明らかになった。また、概ね高いCognitive Reflection Testのスコアを得た人は合理的行動をとっており、トレーディングの意志決定におけるdiposition効果が見られないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、実験的研究であり、初年度は主に実験環境の整備、次年度は被験者数の増大に注力した。 実験を成功裏に実施するためにはインセンティブを用意したうえで、ウェブ上でトレーディングの意志決定をしてもらう必要がある。そのため限りがある予算内で、十分なインセンティブを与えながら、十分な被験者数を確保する必要がある。協力を得るために、大学学部の学生、ビジネススクールの学生のみならず、証券アナリスト協会の協力や個人的なつてを頼りにn数を確保している。現在までの被験者数は40人に上る。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は被験者数を可能な限り確保したい。実験については何度か実施していくうちに、被験者に余分なspeculationをさせずに、純粋にトレーディングの意志決定をさせるような環境整備をおこなうコツがわかってきた。今年度も、十分な数の実験を行うために、大学や大学院、ビジネススクールの学生にとどまらず、マーケットプロフェッショナルに対する実験の実施を目指していく予定である。
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