2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の紙パルプ企業での経営実践プロセスについての調査研究
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22530332
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
四宮 俊之 弘前大学, 人文学部, 教授 (80113801)
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Keywords | 紙パルプ企業 / 経営実践 / 経営革新 / 経営史 / 現場マネジメント |
Research Abstract |
本研究は、第2次大戦後の日本における紙パルプ産業での経営諸活動の実践プロセスの歴史的実態について、企業や事業の当事者レベルでの記述文献諸資料の渉猟や聞き取り調査などを通じて検討、解析していこうとするものである。平成23年度においては、国内の業界機関のひとつである公益財団法人・紙の博物館が所蔵する歴史的な文献史料の渉猟と検討に加えて、同館で説明業務などを務めるかつての紙パルプ業界関係者などからの実務実態に関する聞き取り調査によって、企業や事業当事者レベルからの経営実践プロセスの歴史的実態についての検証を6月に行なった。なお、その際に当初計画していたアンケート調査よりもオーラル・ヒストリーの手法による聞き取り調査の方が本研究に関して有効であると考えるようにもなった。 また、新潟県長岡市にある紀州北越製紙〈株〉長岡工場を9月に訪問し、技術部長などから長時間に及ぶ聞き取り調査を実施し、現代の中堅企業における工場現場での一連の事業経営活動と、そこでの実務実態などについての把握に努めた。その場合、従来想定してきた大企業と中小企業の間に、高い事業効率を示す中堅企業が経営活動などで独自性をもって存在してきていることが印象的であった。また、日本企業における労働者の熟練形成や職員層の形成、学卒者としてのホワイトカラーの動向などを歴史的に取り上げて検討した菅山真次氏などを交えての社会経済史学会と経営史学会の合同による12月の東北部会での検討、討論に参加し、研究の方向性と現代的な意義について再検証した。 このほかに企業活動の経営実践における合理性や習熟性の追求などに関わるものとして、主に現代の研究動向に即しての学理的な側面での文献資料の収集と読み込みによって、次年度における研究の統括に向けての方向性を探るべく務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2年間にわたる研究の中で主に技術関係者を中心に聞き取り調査を続けてきた結果、技術系の職務に見られるような専門性の高い分野における人材の育成、および彼らの職務上の実践プロセスなどについて、かなり具体的に実態を歴史的に把握できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の方策としては、大企業と中小企業の間での経営実践プロセスの歴史的な異同について検討するとともに、技術系だけでなく、営業や事務系などの分野における人材の育成や職務の実践プロセスについても把握を深めるとともに、技術系分野との異同などについても検討し、総合的な理解と論述につなげていきたい。また、最終年度であるため、研究の総括化にも取り組んでいく予定である。
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