2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における漁業制度の形成と周辺地域への普及に関する研究
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22530344
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
小岩 信竹 東京国際大学, 経済学部, 教授 (40003636)
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Keywords | 経済史 |
Research Abstract |
漁業は漁獲対象の存在によって規定されているため、無制限に漁獲をすれば資源が枯渇し、産業は衰退する。従って日本を含めて各国は漁獲を制限し、持続的な漁業が可能となるよう、法律や制度を生にする。日本では明治34年に成立した漁業法がこのような法律の出発となっている。 本研究は、明治漁業法に基づく近代日本の漁業制度の特質を、日本の漁業の実態と、周辺地域での明治漁業法の適用のあり方を研究することによって解明することを目指している。朝鮮などでの漁業法施行のあり方や問題点の解明は、日本の漁業制度を浮き彫りにするからである。 昨年度の研究は、国内では、東京海洋大学付属図書館所蔵の旧水産講習所学生、教員の調査になる日本統治下の朝鮮に関する資料を中心に資料を収集し、その一部は数編の論文等として公表した。この資料の主たるものは、学生、教員の調査報告であるが、むしろそこに挟み込まれているパンフレット、冊子が資料的な価値が高い。そのため、これまで2年間で、そのようなパンフレット類のコピーを集めた。また、戦前の朝鮮に関する資料は北海道大学にも相当数あるので、その閲覧をした。また、実際に韓国に行き、統営と浦項を訪問して、統営近辺の海域や迎日湾の漁業事情を調査した。 こうした資料収集や調査の結果、いくつかの新たな知見を得ることができた。その主なものは次のようなものである。(1)日本の漁業組合は漁業法によって規定されているのであるが、漁業法成立以前にも多くの漁業組合が成立し、活動していた。なお、これらの組合は漁業法成立後は水産組合として再編成される。(2)朝鮮での漁業法の適用は日本の漁業法を直ちに導入されたのではなく、段階的に適用された。この方式は樺太と同様であった。(3)朝鮮での日本の漁業法導入は、日本人に有利な側面が強く、植民地支配と一体という性質があった。 以上の研究をさらに進め、成果の取り纏めやその公表に努めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした課題をほぼ達成している。また、論文等による研究成果の公表も順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究を続け、国内、国外の調査を進めていきたい。また、収集した資料やデータを分析し、論点を明確化していきたい。さらに、見いだされた新たな知見を論文等として公表したい。そのために、研究会、学会等での報告を行いたい。
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Research Products
(5 results)