2012 Fiscal Year Annual Research Report
日豪鉱山業における技術・管理人材の形成とマネジメントの発展に関する比較史的研究
Project/Area Number |
22530345
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
市原 博 駿河台大学, 経済学部, 教授 (30168322)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | オーストラリア史 / 人材形成 / 経営史 / 経済史 / 技術者教育 / 鉱山業 / 人的資源管理 |
Research Abstract |
昨年度に発表した戦前期日本の炭鉱企業の技術系職員・現場係員の人材形成に関する論考に接続する戦後の炭鉱企業の人材形成に関する論考を発表した。これらにより、日本の鉱業部門の人材形成が、戦後の従業員制度改革にも係らず、一貫して学歴=教育資格を基準とする職務と地位の配分を前提に進められたことを明らかにした。また、それが、経営内での技術革新や生産の企画を行う部門と生産部門との乖離を生み、戦後の鉱業部門における強い労働組合機能が生み出される一因となるとともに、生産性向上に向けた技術革新の努力を利益の増大につなげられない原因となるという日本の鉱業部門に独自の問題を生み出したことを明らかにした。 この成果を英文論文にもまとめ、これまで研究交流してきたオーストラリアの鉱山史研究者に提示して議論を深めるため、Australian Mining History association主催のConferenceに提出し、プレゼンテーションを行った。幸い、同協会の会長をはじめ幾人かの方々から高い評価をいただくことができた。 オーストラリアの鉱業部門の人材形成については、この間に収集した資料・文献を読み込み、一部を論文にまとめた。Victoriaの金鉱業とBroken Hillのbase metal鉱業を対象に分析し、それらがイギリスから移住してきたコルニッシュのマイナーたちの伝統的な鉱業技術に依存して開発されたものの、採掘箇所の深部化とともに近代的な技術の導入が必要になり、その担い手育成のために鉱業技術教育機関の整備が進行したこと、しかし、実務経験による技術獲得を重視する鉱業関係者の思想から学卒技師による実地経験者の代替が容易に進まず、人材形成にも実地経験の役割を重視するシステムが形成されたことが明らかになった。これにより、日豪の鉱業部門の人材形成方式の差異が明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)