2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530346
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
吉住 知文 駿河台大学, 経済学部, 教授 (30364813)
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Keywords | 森林政策史 / インド / 生態資源管理 / 環境史 / 経済史 / 持続可能な開発 |
Research Abstract |
本年度は、東日本大震災があり、大学の授業体制の見直しがあり、それへの対応を行わねばならなかったこと。栃木県那須町にある私邸が、少しばかり被害を受け、補修を行わねばならなかったこと。那須町の私邸周辺の放射線量が高く、その対策を行わねばならなかったことなどがあり、予定していた夏期休業中のインド在外研究を行うことができなかった。そのため、一昨年、イギリスで収集した史料の分析を進めて、インドの旧パンジャーブ州カングラ県クールー地方を中心とする、イギリス支配期の初期森林政策史を明らかにする研究を行った。 その成果は、「クールー初期森林政策史1846-1876」(2012年3月,『駿河台経済論集』第21巻第2号)として刊行することができた。クールー地方は、1846年にイギリスの支配下に入った。ヒマラヤスギやアオマツが豊富で、植民地政府の森林政策の展開にとって重要な地域であった。それは、イギリス領に編入されて間もなく、インド総督がこの地域を含む森林調査命じたこと、森林査定の予備調査に中央政府の森林長官自らが乗り出していること、森林査定の過程でインド総督やイギリス本国政府が論争に加わっていることなどからも明らかである。 今日まで、海外ではインドの森林政策史に関して、豊富な研究が行われてきたが、重要な意味を持つクールーの森林政策史を総合的にあつかった先行研究は、今のところ未見である。V.Saberwalは、"Pastoral Politics"で、西ヒマラヤの牧畜をめぐる長期的スパンの政治史の中で、牧地を管轄する森林局の政策史を分析しているが、クールー森林政策史を直接扱っているわけではない。シンChetan Singhは、"Natural Premises"で、長期的スパンの中で、ヒマチャル・プラデーシュ州の環境と社会と経済の相関関係を分析した。政治勢力の台頭、耕作パターン、非耕地利用の方法などへの生態の影響などに示唆を含む部分が多い。クールーの森林についても記述があるが、郡レベルの一次史料にほとんど当たっておらず、依拠する史料の多くがDistrict Gazetteerや土地査定報告書(Settlement Roport)で、史料批判も不充分である。 その点で、この研究成果は、大きな異議を持つものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、東日本大震災があり、大学の授業体制の見直しがあり、それへの対応を行わねばならなかったこと。栃木県那須町にある私邸が、少しばかり被害を受け、補修を行わねばならなかったこと。那須町の私邸周辺の放射線量が高く、その対策を行わねばならなかったことなどがあり、予定していた夏期休業中のインド在外研究を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度2012年4月より2013年3月まで、:Green Templeton College(Oxford University)で在外研究を行うことになった。本来は、国内でそれまでの収集資料を分析して、もっぱら論文や本の執筆を中心に成果発表を行う予定であったが、せっかくの機会なので、Oxford Plant Science Libraryにてマイクロフィルムで所蔵しているインド森林政策史関係の史料、Edinburgh UniversityのCentre for South Asian Studiesに所蔵されている史料、Edinburgh National Libraryのインドの森林に関する史料、Cambridge UniversityのCENTRE OF SOUTH ASIAN STUDIES所蔵のインド森林政策史関係の史料、British Library,Oriental and India Office Collectionsの史料を収集する予定である。
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