2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本の鉄道事業における「公共的性格」の再検討
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22530348
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 恵一 駒澤大学, 経済学部, 教授 (00267387)
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Keywords | 鉄道史 / 交通史 / 鉄道事業 / 鉄道資料 / 公共的性格 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の鉄道事業が、いつ、どのような過程を経て実態面における「公共的性格」を具備し、それがいかなる影響を社会経済に及ぼしたのかを検証することにある。現代では誰もが公共性のある事業として認める鉄道であるが、ここでは戦前期を対象に、日本における鉄道の「公共的性格」の形成過程を実証的に検出する作業に取り組みたい。 本年度における資料収集は、関東近辺では国立公文書館(東京都)所蔵の運輸省(旧鉄道院、鉄道省)文書・建設省(旧内務省)文書、鉄道博物館(さいたま市)が所蔵する地方私鉄の経営資料(営業報告書、株主総会決議録など)を中心に、青梅市郷土博物館、横浜開港資料館、紙の博物館などにおいて、関連資料の調査・収集を行った。地方出張では、昨年度に引き続いて北恵那交通(旧北恵那鉄道)が旧蔵していた経営資料(個人蔵)を調査・収集する機会を得たほか、愛知学泉大学豊田図書館(豊田市)所蔵の名古屋商工会議所旧蔵資料に収められている鉄道・交通関係文献の調査・収集も行った。このほか、個人および企業所蔵の非公開資料で閲覧交渉を進めているものがある。 研究成果としては、経営史学会の学会誌『経営史学』第46巻第2号に論文「戦間期京浜工業地帯における鉄道輸送問題-鶴見臨港鉄道の成立と展開-」を発表した。掲載号の編集後記では、「インフラストラクチャー整備事業の世界的な急拡大が事業機会として注目される今日の状況に鑑みても、示唆に富む内容」(107頁)との評価をいただいている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災と原発事故の影響で所属研究機関の年間スケジュールが大きく変わり、連動して作業予定の見直しを余儀なくされたが、研究目的の達成という点では、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の折り返しにあたる年度となるため、過年度に調査・収集した資料やデータのアウトプットを強く意識していきたい。研究計画の変更、研究遂行上の問題点は現在のところ生じていない。
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Research Products
(1 results)