2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530350
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 教授 (40327995)
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Keywords | 総合商社 / リスク管理 / 三井物産 / 三菱商事 / 取引先信用 / 両大戦間期 |
Research Abstract |
本研究では、わが国に総合商社が成立し得た要因の一つとして重要な意義をもったとされるリスク管理制度の実態について、両大戦間期の三井物産、三菱商事をはじめとする各社の一次資料を用いて分析することを目的とする。具体的には、当該期の取引先信用制度と見込商売について、主としてアメリカ合衆国国立公文書館およびオーストラリア国立公文書館シドニー分館に所蔵される接収資料を用いつつ、両大戦間期にわが国総合商社が三国間貿易で強い競争力を有するにいたった要因を実証的に解明する。 三国間貿易は、両大戦間期における総合商社の主要な業務であるが、海外の取引先信用の把握が困難でかつ大規模な見込商売が展開されるためリスクの高い商売であった。本研究では世界各地に残されている商社の取引先信用に関する一次資料群からこれら制度の具体的内容やその形成過程の分析を進めた。これら当該年度の分析によって、総合商社において取引先信用不安に伴う不良債権の増大に対応して、1920年代以降、それら信用程度を審査する制度を大幅に整備し、景況に応じて弾力的に運用することで全社的なリスク管理体制を充実させていった実態が解明された。ただし、同じ総合商社でも後発であった三菱商事の場合、三井物産に比して審査能力の点で不十分な状況も見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画した通りの資料が発掘されたことと、計画通りに作業が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの調査の結果、両大戦間期にかけて総合商社が国際貿易上、強い競争力を発揮するうえで重要であったリスク管理制度について、取引先信用と並んで見込商売の管理の動向も依然として重要性を有していたことが判明した。そこで、今後は最終年度に向けて、取引先信用と併せて見込商売の管理についても、一次資料をもとに分析を進める予定である。
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