2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の事業組織内部における戦略関連要因に関する研究
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22530356
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 俊彦 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (20295463)
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Keywords | 経営組織 / 事業組織 |
Research Abstract |
本研究では、日本企業の事業組織における事業戦略の生成・共有・実行の過程を具体的なコンテクストに基づいて明らかにすることを主眼としている。2年目にあたる平成23年度においては、定量的分析をさらに進めて、国際学会で発表するとともに、企業内部での聞き取りを中心とする定性的調査を本格的に実施した。 まず定量的分析については、事業組織内部において、組織階層の中下位層を含めて事業戦略が生成される過程を中心として検討を進めた。これまでのところ、構造的な側面では、事業組織の垂直的分化と組織内部でのコミュニケーション・チャネルを中心とする構造的な要因が組織的な戦略創出過程に負の影響を与えること、また属人的な要因では、事業組織の部門長(通常は事業部長)の対外影響力(その上司や関係する他の部門、取引先などに対して有する影響力)や、部下となるミドル階層の意見を取り上げようとする姿勢が正の影響を与えることなどが、明らかになった。 また定性的調査については、特定の企業を対象として、代表取締役を含む経営陣、経営企画を担当する本社スタッフ、ならびに事業部門での戦略の策定・実行の担当者に対して、中期計画の策定過程を中心として事業戦略の生成・共有過程に関する複数回の聞き取り調査を行った。提供された内部資料とあわせた分析からは、形式上は全社一律の仕組みで中期計画が形成されるものの、トップマネジメントを中心とする本社側の戦略策定過程への関与のあり方が事業部の状況によってかなりの差異が見受けられることや、数値目標の設定やそのとらえ方が事業部間で異なること、規模や事業特性が類似した事業部間でも、ミドル層の戦略生成過程への関与の方法が異なることなどが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で予定していた企業内部での調査について、一部企業での調査を途中で断念せざるを得ない状況などがあった一方で、当初は困難だと想定していた内部資料へのアクセスが可能になった企業などもあり、定性的調査は進捗している。また、海外学会での発表も、これまで採択・発表されてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、新たな企業で聞き取り調査を実施するとともに、これまでに調査を実施した企業のうち、一部企業については可能な範囲で追調査を実施する。また、最終年度にあたることから、研究成果を学術論文等にまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)