2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の事業組織内部における戦略関連要因に関する研究
Project/Area Number |
22530356
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 俊彦 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (20295463)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 経営戦略 / 経営組織 |
Research Abstract |
本研究の最終年度となる平成24年度は、事業戦略の形成過程などに関する平成23年度までの調査の結果を踏まえて、ビジネスユニット(通常の事業部に相当。以下、BU)を分析単位として、日本企業の事業戦略の状況を中心とする分析を、定量・定性の両面から進めた。 この分析から主として明らかになったのは、次の3点である。1、日本企業の事業戦略を考察する際には、米国などで用いられてきた既存の測定尺度は部分的に利用できるものの、その前提となる構成次元はそのまま適用できるわけではない。2、本研究のこれまでの調査から想定されるように、分析対象BU間の差異は小さくない。例えば、成熟期(分析対象BUの8割強は成熟前期以降)に避けるべきとされる「攻撃的な拡張志向」は、平均的にはそれほど強調されないものの、3~4割のBUでは強く志向する傾向にあった。3、一部の項目はBUの経営成果と強い関係にある。具体的には、(1)製品市場を分析的にとらえようとするBUでの志向性は収益性と成長性の双方に対して正の影響をもたらし、(2)攻撃的な拡張志向は収益性に対して負の影響があるものの、成長性とは有意な関係になく、(3)保守的な志向性は収益性・成長性に対して負の影響がある、といった点が、分析から明らかになっている。このような分析結果は、BUを取り巻く主だった環境要因や、製品ライフサイクル上のBUの位置づけを勘案しても、基本的には変わらない。 以上から、日本企業では、適切な合理性の追求が重要な意味を持つといえる。その多くが成熟期以降に位置する現在の日本企業のBUでは、過度な攻撃性をとることなく、かつ適切な分析に基づいた事業運営が、高い成果をもたらすのである。このことは、日本企業は分析志向が弱いといった点で米国企業とは異なり、そのような違いに日本企業独自の強みがあるとした過去の研究とは、対立的な論点を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)